マダニを介して発症するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の患者の報告が増えている。国立感染症研究所(感染研)は23日、今年に入って13日までの報告が88人になったと発表した。うち、少なくとも3人が死亡している。2013年に統計を取り始めてから最多だった17年の90人に迫っており、専門家は注意を呼びかけている。
感染研によると、都道府県別では、山口が11人で最も多い。島根、徳島、長崎、宮崎が各8人、鹿児島が7人、広島、高知が各6人と続き、中国、四国、九州の報告が目立つ。
SFTSウイルスを持つマダニにかまれることで感染し、6~14日後に発熱や嘔吐などの症状が出る。重症化し、命にかかわることもある。農作業などで山に入った後にかかることが多い。
慈恵医大の嘉糠洋陸教授(熱帯医学)は「完全に防ぐのは難しい。ただ、マダニが肌に付いてもすぐにはかまない。山から戻った後にシャワーを浴びて、着替えることでマダニにかまれる機会を減らせる。ぜひ実践してほしい」と話す。
https://www.yomiuri.co.jp/science/20191023-OYT1T50207/