なぜ「患者にスリッパを履かせる病院」は問題アリなのか? こんな病院に行ってはいけない
・「患者にスリッパを履かせる病院」は避けたほうがよいと、医師が説いている
・足の裏には億単位の細菌が存在するため、細菌が他人にうつるリスクがある
・わざわざ感染症を引き起こす要因となるものを置くのはどうなのかと述べた
内科、小児科、歯科……街のあちこちで見かけるクリニック。どこにかかればよいのか、迷うことも多いだろう。そんな中、失敗しない病院の選び方を教えてくれるのは、著書『医者が教える「ヤブ医者」の見分け方』で知られる金子俊之医師だ。「患者にスリッパをはかせる病院」は避けたほうがよいと説く金子医師。一体どうしてなのか? その理由を解説してもらった。
病院の設備からもヤブ医者かどうかをある程度見分けることができます。
実際に治療に入ってから後でヤブ医者だとわかるより、早い段階でヤブ医者と判別できたほうがいいに越したことはありません。
ここからは設備面でヤブ医者かどうかを判断するポイントについてお話ししたいと思います。
しかし、100%ヤブ医者だと断言するにはむずかしい要素も中には含まれているため、あくまでも参考程度に知っていただけたら幸いです。
・待合室に貼ってあるポスターが古いクリニック
待合室に堂々と古いポスターを貼っているクリニックには、ヤブ医者の存在が感じられます。
古い情報と新しいものが混在して貼られていたら、客観的にみても一貫性のないクリニックだと思うでしょう。そんなこともわからない医者は不真面目といいますか、面倒くさがり屋なタイプが多いので最新の医療知識も更新できていない可能性が高いのです。
そのため治療に対しても手抜きをする傾向があります。
そもそも患者に知らせたい情報を発信するのが、ポスターの役目です。そのポスターが古いと「小汚い」印象を与えるだけでなく、「情報が古い」=「この病院、大丈夫かな?」と患者さんは感じるはずです。
古いポスターに限らず雑誌や本を置くにしても患者さんのことを考えて新しいもの(小汚くないもの)を見栄え良く配置すべきだと考えています。
・メインの診療科目が判別できないクリニック
大都市の医療機関なのに、メインの診療科目が判別できないクリニックというのが存在します。
日本の法律であれば、専門医でなくても院長が掲げる科目で開院できてしまうので専門知識のないヤブ医者の受診にかかると誤診されることがあります。そのため、メインの診療科目が判別できないようなクリニックには注意が必要です。
スリッパがなぜ問題なのか
医者が少ない地方や医療過疎地でやむなく複数の診療科目を診察しているケースは例外です。ほかに受診できるクリニックがないので、その医療機関だけで複数の診療科を診る必要があることはあります。
そういったクリニックは医療過疎地でたくさんの患者さんを引き受けて治療しているわけですから、本当に素晴らしいクリニックであると私は思います。
しかし、大都市で専門医がその辺にゴロゴロしているにもかかわらず、メインの診療標榜科目が何かも判別できないクリニックは、儲かる科目をとりあえず入れているなど専門外の領域も平気で診療しているケースが多いのです。
そのためヤブ医者に遭遇する率もかなり高いといえるでしょう。
・スリッパを履かせる病院
膠原病・リウマチ科医の立場から言わせていただくと、私は患者さんにスリッパを履かせるのは基本的にナンセンスだと思います。殺菌のスリッパボックスを適用している病院もありますが、裸足のままスリッパを履いて、そのまま脱ぎっぱなしにしてしまったため、次の患者さんがそのスリッパに足を入れるケースもあるでしょう。
もともと足の裏には億単位の細菌が存在しているため、スリッパを履かせるということは細菌が他人にうつるリスクを高めることでもあります。
免疫抑制剤や生物学的製剤など免疫を落としてしまう薬剤を使用している患者さんが、スリッパから水虫などの皮膚感染症を引き起こすリスクもあります。
病気によっては末梢の血流が悪いため、足などに感染症を引き起こすとなかなか治りにくく、そのまま全身の感染症・敗血症などになってしまうこともあります。
最新機器をそろえているか?
いくらスリッパを消毒しているとはいえ衛生面では限界があります。そもそもクリニックとは医療機関なのに、スリッパのようにわざわざ感染症を引き起こす要因となるものを置くのは医者として、医療機関としてどうなのかと思ってしまいます。
・古い機械しか導入していない病院
ぬか漬けやヴィンテージワインではないので、古い機械の方が味がでて使い勝手がいいということはありません。やはり最新の機器の方が精度がいいに決まっています。
旧型8列のCTよりも最新の64列は非常に精細で、今まで8列のCTでは発見できなかった病巣を発見できるようになりました。最新の機器の方がより正確な検査や治療がおこなえるわけですが、保険点数はほとんど差がついていないのが現状です。
放射線のがんの被ばく量についても、新しいCTの方が低被ばくで検査を完結できるような工夫がなされています。
装置には被ばく低減の技術が搭載されているため体にもやさしくて安心です。
私も以前は、中古のエコーを当てて診療していましたが、大学病院で最新のエコーで診たときに
「これで同じ診療報酬をいただいたのでは診療報酬詐欺かもしれない……」
と思ったことがきっかけで、それ以降は古いエコーを使用することはやめました。
経済的な理由があるにしろ、やはり古い機器を使っているクリニックは情報を更新できていない可能性が高いのです。古いクリニックならば最新の機器を導入した医療機関と提携して、患者さんに検査を受けてもらうなど上手にアウトソーシングすればいいだけの話です。
連携がきちんととれているクリニックは、ある意味信頼に値するクリニックであると私は思っています。
https://news.livedoor.com/article/detail/17497735/