2019/12/20【リステリア菌】サラダの「ゆで卵」でリステリア症 1人死亡4人が入院 /アメリカ
米国では、外食産業やスーパーマーケット向けに販売されているゆで卵を食べた7人が「リステリア菌」に感染し、うち1人が死亡、4人が入院していることが明らかになった。感染者が増えるおそれがあるとして、米疾病予防管理センター(CDC)と米食品医薬品局(FDA)が19日明らかにした。
CDCによると、2017年4月から今年11月にかけて、テキサス州やサウスカロライナ州、フロリダ州など5州に住む1歳から82歳までの7人がリステリア症に感染し、これまでに1人が死亡、4人が医療機関に入院。
妊婦も感染
また妊娠中に感染した母親から生まれた新生児の二次感染も報告されているが、幸いにも赤ちゃんは回復に向かっている。患者の地元の公衆衛生当局が5人に聞き取り調査を行った結果、4人が発症前にゆで卵を食べたと答えており、そのうち3人は食料品店で購入したり、レストランでゆで卵入りサラダを食べたと報告している。
患者から検出されたリステリア菌は、今年2月にFDAがジョージア州の鶏卵加工メーカー「ALMARK FOODS(アルマーク・フーズ)」の卵加工施設を立入検査した際、ベルトコンベアなど2カ所から見つかったリステリア菌と遺伝型が一致していることから、同工場で作られたゆで卵が感染源の可能性が極めて高いという。
リコールはまだ
19日時点で、同社製品に対するリコールは発表されていないが、感染拡大を防ぐため、小売業者や外食産業に向けて注意喚起するとともに、消費者に対しても外食時や購入時に注意するよう呼びかけている。
リステリア菌は、川の水や動物の腸など環境内に広く分布する細菌で、厚生労働省によると日本国内で食中毒が発生したという報告はないものの、食品安全委員会の推定では年間200人ほどいると考えられている。
欧米では、チーズなどの乳製品や、ハムやスモークサーモン、コールスローサラダなどの加工品が原因で集団食中毒の前例があることから、世界保健機関(WHO)が「冷蔵庫に長期保存され、加熱されずにそのまま食べられる食品でもリステリア症の原因になりうる」と指導している。
健康な成人では多くのリステリア菌を摂取しない限り発症することは珍しいが、免疫機能が低下した妊婦や65歳以上の高齢者、がんや透析治療を受けている患者の場合は、少量でも敗血症や髄膜炎など重症化する可能性があるうえ、妊婦が感染すると胎盤や胎児へ感染し、流産や新生児に影響がでることがある。
症状は悪寒や発熱、筋肉痛など、風邪やインフルエンザとよく似ていて、菌に汚染された食べ物を食べてから1〜4週間後に発症するケースが多く、感染していても原因の特定が難しい。
https://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/3/2/32490.html