気管支ぜんそく疾患の人は、新型コロナウイルスに感染しにくいかもしれないとする研究結果を、国立成育医療研究センターが2日発表した。体内のアレルギー反応の影響でウイルス感染が起きにくくなっている可能性がある。
米国と中国、メキシコの感染者約1万7千人の論文データを分析。これらの国の8都市では、人口の約8%がぜんそくにかかっているが、新型コロナにかかった人に占めるぜんそく患者の割合は5%強と低かった。
新型インフルエンザはぜんそくがリスク要因とされ、松本健治・免疫アレルギー・感染研究部長は「意外な研究結果だ」と驚いている。ただぜんそくの人が新型コロナで重症化する度合いは健康な人と変わらず、松本部長は「新型コロナ感染を甘く見ていいわけではない。さらに慎重な調査が必要だ」と指摘する。
チームの分析では、高リスクとされる糖尿病や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の人は、そうでない人に比べて重症化しやすかった。
新型コロナウイルスは、細胞表面にあるタンパク質「ACE2」にくっついて感染する。アレルギー反応に伴う免疫物質がACE2の発現を抑えるとの報告があり、チームはこれが関係しているとみている。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59883730S0A600C2CR8000/