2020/06/07【新型コロナウイルス:COVID-19】病院クラスター93か所、宣言解除後も後を絶たない院内感染
厚生労働省によると、新型コロナウイルスによるクラスター(感染集団)は5月20日時点で全国262か所で発生し、このうち医療機関は93か所と最多を数える。高齢者や抵抗力が低下した患者のいる医療機関では、ひとたびウイルスが入り込むと、感染が拡大しやすい傾向にあるためだ。
北海道がんセンター(札幌市、430床)では4月16日に患者ら4人の感染確認後、6月3日時点で入院患者や医療従事者ら82人が感染。そのうち4割近くが看護師だった。担当者は「同じ病棟の看護師同士で感染が広がったのでは」とみる。二ツ屋病院(石川県かほく市、156床)でも、4月19日に職員の感染が判明。感染者は6月3日時点で入院患者や医療従事者ら85人に拡大し、入院患者20人が死亡した。
感染が医療従事者に及べば、医療機関は深刻な人手不足に直面する。6月3日時点で147人の感染が確認された、なみはやリハビリテーション病院(大阪市、120床)では、感染した複数の看護師に感染者がいる病棟を担当させていたことが発覚した。
永寿総合病院(東京都台東区)の院内感染は3月下旬に判明した。それ以降、永寿を超える規模の院内感染は起きていないとみられる。国際医療福祉大の松本哲哉教授(感染症学)は「他の病院が脅威に感じ、感染防止策を一層強化する契機になったのだろう」と分析。その上で「地方では、一つの大規模病院が地域の医療を一手に担う側面がある。そこで院内感染が起きれば、地域の医療が崩壊しかねない」と警鐘を鳴らす。
緊急事態宣言の解除後も、院内感染は後を絶たない。
福岡県では5月23日以降、感染者が多発する北九州市の4病院で集団感染が起き、感染者は6月4日現在で患者や医療従事者ら計54人に上る。武蔵野中央病院(東京都小金井市、306床)も5月25日、職員3人の感染を公表。6月3日時点で入院患者ら32人に拡大した。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200607-OYT1T50025/