2020/06/13【新型コロナウイルス:COVID-19】英ジョンソン政権、新型コロナで機能不全-与党内からも不信感 /イギリス
・ジョンソン政権は「空っぽ」と保守党員、士気低下広がる
・第2波でロックダウン指示しても市民は無視すると、政府内で危惧
英国のジョンソン政権内部では、疲労や士気の低下が高官の間に広がり、絶望する声が聞かれ始めている。
欧州連合(EU)を離脱して輝く英国に生まれ変わるという夢は、新型コロナウイルスの感染拡大で狂ってしまったようだ。ジョンソン政権下の英国は新型コロナ感染症(COVID19)の死者数が4万1000人余りに上り、米国に次いで世界で2番目に多い。
新型コロナで被った打撃も先進国のうち最大級で、英国経済は過去300年間で最も深刻なリセッション(景気後退)に陥っている。ジョンソン首相は来週、EUとの通商合意に向け事態を打開しようと直接交渉に乗り出すが、着地点は見えず、合意不成立によって経済的な痛みに拍車がかかるとの不安が広がる。
政府内では、ジョンソン政権がもはやほとんど、あるいは全く信頼を失ってしまったのではないかと危惧され、冬に新型コロナの第2波が襲いロックダウンを指示するとしても、幻滅した市民は無視するだけなのではないかとの懸念がある。首相側近がロックダウンの規則に違反したとされるスキャンダルを起こし、政府の新型コロナ対策戦略はすでに大きな傷を負った。
与党・保守党はわずか半年前の総選挙で大勝を収めたが、最近は支持率が急低下を続ける。さらに党内の信頼も一部失いつつある。
ある保守党員は「こんなことをなぜしているのか、もはや理由が分からない」と発言。もう1人の保守党員は、ジョンソン政権は「空っぽ」だと述べた。さらに別の保守党員は「党内に不満が鬱積(うっせき)している」とし、「首相の印象は悪化する一方だ」と語った。
首相官邸の報道官はコメントを控えた。