ことしの「骨太の方針」について、政府の経済財政諮問会議で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてデジタル化への集中的な投資を行うことなどを盛り込んだ骨子案が示されました。安倍総理大臣は、質の高い経済社会の実現を目指すとして、来月の策定に向けて作業を進めるよう指示しました。
22日に開かれた経済財政諮問会議では、来月とりまとめる経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる「骨太の方針」の骨子案が示されました。
骨子案は、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえた当面の経済財政運営や、経済活動の段階的な引き上げに加え、「新たな日常」の実現が柱になっています。
そして、行政のデジタル化の遅れや、テレワークの普及に向けたオンライン環境の整備などの課題が、指摘されていることを踏まえ、デジタル化への集中的な投資を行うことや、サプライチェーンの多元化などを通じた経済構造の構築、それに、東京一極集中型から「多核連携型の国づくり」への転換などが、盛り込まれています。
これに関連して、民間議員からは、医療提供体制の柔軟性を高めるため、都道府県を越えた病床や医療機器の利用を国が調整できる仕組みをつくることや、マイナンバーと銀行口座との連携に向けて早急に法制化に取り組むことなどを求める提言が出されました。
安倍総理大臣は、「ことしの骨太の方針は、今回の感染症の拡大で明らかになった課題に正面から向き合い、『新たな日常』を通じた、質の高い経済社会の実現を目指すべく、社会変革の方向性を盛り込んでいく」と述べ、西村経済再生担当大臣に策定作業を進めるよう指示しました。
西村経済再生相「政府も民間もデジタル化を」
西村経済再生担当大臣は記者会見で、「政府のシステムが、オンラインで対応できないなどの課題がある。民間も、IT関係の投資は底堅く推移しているので、さらに喚起するような支援策を進めていかなければならない」と述べました。
一方、財政健全化に向けた取り組みをどこまで明示するか問われたのに対し、西村大臣は、「今は、厳しい状況にある人への支援が遅れることがあってはならず、1日も早く必要とされる資金を届けることが大事だ。骨太の方針で、今後の経済財政運営の方針を示し、夏には、中長期の試算も示したいと考えているので、これから議論を深めていきたい」と述べました。