2021/05/13【新型コロナウイルス:COVID-19】医療現場「崩壊寸前」 福島県内、病床使用率87・6% /福島県
「医療崩壊の寸前だ。このまま新たな新型コロナウイルス感染者が増え続ければ、治療を受けられずに命に関わる事態も懸念される」。新型コロナ感染者を受け入れている会津若松市の竹田綜合病院で院内感染対策を担当する長沢克俊医師(51)は、日に日に逼迫(ひっぱく)度を増す医療現場で危機感を募らせる。
同病院では四月二十日時点でコロナ専用病床二十床の入院患者は一人だった。しかし、会津若松市で二十六日以降、十人を超える感染確認が続くと、あっという間に病床は埋まった。五月に入り、県の要請でさらに十床を増やしたが、日を追うごとに増える感染者でほぼ満床の状態が続いている。
十二日の県発表で会津若松市の感染者は二十三人となり、現在も感染拡大に歯止めが掛からない。周辺市町村にも感染は広がっている。新たな感染者が出ても同病院や他の病院で十分に受け入れられずに、ホテルや自宅での療養となるケースが増えてきているという。長沢医師は「重症化を防ぐには適切に薬を投与する必要があるが、入院させられなければそれができない」と現状を憂う。
十一日現在の県内の入院者は予定を含め四百十一人。県が確保している病床四百六十九床の使用率は87・6%で九割に迫っている。県は広域的な入院調整も困難な状況として、原則入院の方針を一部見直し、当面は基礎疾患のある人でも軽症者はホテルでの宿泊療養、無症状者は自宅療養も活用するとしている。自宅療養者は過去最多の九十八人に上っている。
全国的には、感染者が医療機関での治療を受けられないまま亡くなるケースも出てきているという。県感染症対策アドバイザーを務める福島医大感染制御学講座の金光敬二教授は十一日の県新型コロナ対策本部員会議で語気を強めた。「重症化の懸念がある場合でも入院がままならない状況に突入した。生死に関わる問題だ」
https://www.minpo.jp/news/moredetail/2021051386443