2021/05/20【ムコール症】新型コロナ危機と戦うインド、2つの州が「ムコール症」のエピデミックを宣言 /インド
・インドでは、2つの州が病院内で感染が広がっている真菌感染症「ムコール症」を”エピデミック(流行)”と宣言した。
・ムコール症は副鼻腔や脳、肺などに影響を及ぼし、命に関わることもある。
・つまり、インドは今、新型コロナウイルスの死者数が急増する中でもう1つのエピデミックと戦っているということだ。
病院内でムコール症の感染が広がり続けるインドは今、命に関わる2つの病気と戦っている。
インドでは2つの州 —— 北西部のラジャスタン州と南部のテランガーナ州 —— がムコール症を”エピデミック”と宣言した。つまり、ムコール症の全ての感染例は記録され、政府に報告されなければならないということだ。
「ブラック・ファンガス(黒い真菌)」とも呼ばれるムコール症は、命に関わる感染症だ。その死亡率は約50%で、感染した組織は全て、手術で取り除く必要がある。その結果、目や鼻腔組織の一部を失う患者もいる。
ムコール症の感染例が増加しているということは、インドは今、2500万人以上の感染が確認されている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)だけでなく、この真菌感染症とも戦わなければならないということだ。
ムコール症は、回復期あるいは回復後まもない新型コロナウイルスの感染者の間で増加していて、医師たちはステロイド —— インドでは新型コロナウイルスの重症患者の治療に効果的だと考えられている —— が身体の免疫系を抑制し、新型コロナウイルスの治療を受けた人々をムコール症にかかりやすくしているのではないかと見ている。
インドでは5月18日(現地時間)、新型コロナウイルスで4529人が死亡し、1日の報告数としてはこれまでの最多記録を更新した。感染第2波を食い止めようとしているものの、医療機関はいっぱいいっぱいで、葬儀もままならず、ガンジス川に遺体が流されるなどしている。
現時点で、インドにおけるムコール症の感染者数は公式発表されていない。ただ、それぞれの州でかなりの数の感染例が報告されている。例えば、BBCの19日の報道によると、マハラシュトラ州は先週、1500人のムコール症患者がいると報告しているし、グジャラート州では4月に約900人の感染が確認されたという。
CNBCによると、ラジャスタン州政府は、ジャイプールにあるサワイ・マン・シン病院に設けたムコール症に特化した特別病棟に100人の感染者を集めた後、治療薬2500バイアルを注文した。
ナショナルジオグラフィックは、免疫系が低下している人が真菌の胞子にさらされると、ムコール症にかかりやすくなると伝えている。ムコール症を引き起こす胞子は「ムコール真菌類」と呼ばれるカビの一部で、土中や空気中でよく見つかる。真菌の胞子を吸い込んだり、切り傷や擦り傷、やけどによって真菌が皮膚から入ることで感染する。
アメリカの疾病予防管理センター(CDC)によると、ムコール症の初期症状としては、鼻筋または口内に現れる黒い病変、片側の顔の腫れ、頭痛、鼻づまり、発熱などが見られるという。
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