新型コロナの感染者が30人以上出て、いまも対面診療を休止している秋田県の男鹿みなと市民病院の院長がクラスターが発生してから初めてインタビューに応じました。
「ほかの感染症では経験したことがない」と感染が一気に広がった様子を語りました。
【下間信彦院長】
「（感染を）止められなかったというか、なかなか大変な病気だと感じている」
始まりは先月10日でした。
発熱などの症状があった1人の看護師が新型コロナウイルスに感染していることが判明したのです。
感染は瞬く間に看護師や入院患者ら院内に広がり2週間で感染者は29人にまで膨れ上がりました。
下間信彦院長は「あっという間だった」と振り返ります。
【下間信彦病院長】
「こういう風に広がるのかって他の感染症でもこんな感じのは経験したことがないのが正直なところ」
男鹿みなと市民病院では当初コロナ患者用の病床として4つの病室にあわせて4床を用意していました。
ところが最初の発生から1週間後の先月17日には1日に10人もの感染者が出るなど感染が拡大し多いときで13病室19ものベッドがコロナ患者で埋まりました。
なぜ感染は拡大したのでしょうか。
下間院長は
「どのように感染が広がったのか検討したがわからなかった」
としたうえで、次々に感染が広まったのではなく、患者の多くは同じ時期に感染していたとの見方を示しました。
【下間信彦院長】
「どうしてクラスターになったかは、おそらく全員が同じ時期にウイルスに曝露したんだと思います」
「うつっていったんじゃなくて、みんないっぺんにいた人たちが、少しずつ少しずつ発症してきた」
慣れない防護服を着ながら仕事にあたった看護師らスタッフの中には当時、体調不良を訴える人もいたといいます。
【下間信彦院長】
「良くなかったのは我々がちょうどワクチン接種を受ける側で副反応出て熱出たりして不調を訴えて職場が十分に機能しなくなる」
「患者さんを治療するためには1人につき看護師が2～3人必要になってきますので」
一歩間違えると医療崩壊を起こしかねない院内でのクラスター。
ギリギリのところで踏みとどまった最大の要因は、感染した入院患者の半数ほどを他の病院に転院させるなど、医療機関の横の連携だったと下間院長は指摘します。
【下間信彦院長】
「うちの患者さんを半分くらい診てもらった。すごく助かった。その調整役も県から来てくれて当院から手配してもらうのを、県が直接指示してくれたのでそれでなんとかった。あれができなければ大変なことになったかと思う」
「この病気を乗り越えるにはこの方法しかないなと広域で搬送して助け合っていく。今度逆の立場になったときは診てあげることが役に立つと実感した」
一方、地域の人たちからの励ましの声もスタッフの大きな支えになりました。
医師や看護師らが過酷な勤務にあたるなか、病院には地域の人や他県の医療従事者から手紙や花が贈られてきました。
【下間信彦院長】
「ポロっとは来ないけどジーンとズシーンときた。最初は（クラスターを起こして）非難されているんじゃないかと。頑張れとか目の当たりにすることでやっぱり頑張らなきゃなってみんなポジティブに我々を応援してくれる言葉だったのですごく励みにそれが原動力になった」
「地域の人に励ましてもらえると医療人はそこを励みにして働けるので」
感染者は次第に少なくなり、先月31日からは10日間ほど新たな感染者は確認されませんでした。病院側も「収束した」として通常診療の再開を検討していた今月12日。
新たに入院患者1人の感染が判明しました。
男鹿市で唯一の入院機能を持つ男鹿みなと市民病院ですがコロナウイルスとの戦いはいまも続いています。
【下間信彦院長】
「我々が常日頃しているレベルの防御策これを乗り越えて、今回クラスターが発生してしまいました」
「いま職員にはきつい予防策を徹底してやらせることを目標にしている」
「とにかく（新型コロナ）患者を発生させない状況をつくって、それから当院でどういう予防策でこれまで以上にやっていくかを話し合っていかなきゃいけないなと」
「ワクチンをする側としても我々男鹿市の一つの病院として、関わっていますので収束したらますますそちらに力を入れていきたい」
https://news.yahoo.co.jp/…/26a9514c3d2cb97ab84e66b941ed…