熊本大と水産加工のジャパンシーフーズ(福岡市)は2日、魚介類に寄生するアニサキスを電流で殺虫する新技術を開発したと発表した。アニサキスが原因の食中毒を防ぐ方法は生食の場合、冷凍に限られていた。新手法なら品質を落とすことなく安全に刺し身が楽しめるという。
アニサキスはサバやアジに寄生しており、生で食べると腹痛や吐き気といった症状を引き起こすことがある。
研究チームによると、加熱か冷凍で殺虫できるが、解凍した刺し身は食感や色が変わって劣化する。また販売する際に「解凍」表示が必要となり、商品価値が下がるため新たな殺虫方法の開発は水産業界の長年の課題だった。
新手法は蓄積した電気を瞬間的に放出するパルスパワーという技術を使い、下処理した魚に大電流を流してアニサキスを殺す。殺虫装置の試作機を開発し、三枚おろしにしたアジなら3キロを6分ほどで処理できることを確認した。
ジャパンシーフーズは今秋、この手法を用いた刺し身を試験的に出荷する予定。研究チームは「世界初の技術で、水産業界に普及させたい」と話した。
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