2021/07/26【RSウイルス】RSウイルスの“感染急増”はなぜ起きているのか 米紙が解説する「意外な原因」
米紙「ニューヨーク・タイムズ」の記者タラ・パーカーは、「今年、皆が最悪の夏風邪をひいている理由」と題して記事を掲載。ワクチン接種が進むアメリカで、例年よりも夏風邪が流行していることを報じ、その理由を専門家に尋ねている。
CDC(米国疾病予防管理センター)によると、今夏のアメリカでは典型的な風邪やインフルエンザのような症状を引き起こす「呼吸器系ウイルス」に感染する人が多数報告されている。
そのなかでも増えているのが、「RSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス)」や「パラインフルエンザウイルス」だ。CDCの広報担当者は「幼い子どもや高齢者にとって危険なRSウイルスの感染急増は、この時期としては異例」と述べている。
米誌「タイム」も、RSウイルスの流行について報じる。ほとんどの子どもが生後2年以内にRSウイルスに感染するが、パンデミックの最中や直前に生まれた赤ちゃんはまだRSウイルスに遭遇しておらず、「いまは特に感染しやすい状態だ」と書く。
自粛によって“免疫トレーニング”を欠いた私たち
ロックダウンなどの感染対策で、私たちは新型コロナウイルスだけでなく、インフルエンザなどのその他のウイルスへの接触を避けられた。これはポジティブな側面だ。しかし、人々がマスクを外し、握手やハグが復活した海外では、私たちが自粛生活中に避けられていたウイルスへの感染リスクも高まる。
前出の「ニューヨーク・タイムズ」の記事で、免疫学の専門家ポール・スコルニック博士(米バージニア工科大学)は、夏風邪急増の理由を次のように説明する。
「さまざまな病原体にさらされることで、それらに対応できるよう免疫系が準備できるのです。
このような環境にさらされていないと、免疫系システムの反応が遅れたり、充分に反応できなかったりして、呼吸器系の感染症にかかりやすくなるのです」
また、同紙は感染症専門家であるアリソン・アグーのコメントを掲載。呼吸器系疾患の蔓延を防ぐために、手洗いやくしゃみを覆うこと、休息をよくとることなど基本的なことが大切だと伝えている。
そして何より、風邪をひいたときに不安にならないためにも、「新型コロナウイルスのワクチンを接種しておくことが大切だ」と述べた。
RSウイルスはヨーロッパや南アフリカ、オーストラリアやニュージランドでも急増が確認されている。ワクチン接種が進む日本において、私たちが次に気をつけるべきなのは「ふつうの風邪」なのかもしれない。
https://news.yahoo.co.jp/…/760ed312e2d64b9184d060209972…