2021/08/03【新型コロナウイルス:COVID-19】中国各地で感染再拡大、南京からデルタ株広まる /中国
中国各地で新型コロナウイルスの感染が再拡大している。過去10日間に確認された感染者は300人を超え、従来株より感染力が強いデルタ株への中国の防御態勢に懸念が浮上している。
中国はここ数カ月で最大規模の感染流行に見舞われている。
現在15の省で感染が確認されており、そのうち12の省については、江蘇省東部・南京市で発生した感染流行と関連があるとされる。当局はデルタ株と、国内の観光シーズン真っただ中であることが感染拡大の要因だとしている。
湖南省中部・株洲市では、100万人以上が3日間の外出自粛を求められ、集団検診とワクチン接種が実施されている。
地元政府は現地の状況を「悲惨で複雑」としている。他の複数の都市ではデルタ型の感染が確認されたことを受け、緊急のロックダウンが敷かれている。
中国メディアは感染拡大のニュースでもちきりになっている。同国の呼吸器疾患の専門家のトップが深刻な懸念を表明しているとも報じられている。
中国政府は新たに移動規制を導入したほか、数百万人を対象にウイルス検査を実施している。
中国で何人がワクチン接種を完了したのかは不明だが、当局はこれまでに16億回分以上の接種が行われたとしている。
■南京でデルタ株を確認
新型ウイルスのデルタ株は、7月に南京空港で、ロシアから到着した飛行機の清掃を担当した従業員の間で初めて確認された。
これを受け、当局は直ちに南京市民約920万人を対象にウイルス検査を実施。数十万人に外出禁止令を出した。
しかし先週末になると、人気観光地の湖南省張家界市に注目が集まるようになった。
直近の感染者の多くは張家界市で確認された。南京からの旅行者が最近、同市を訪れたとみられる。
保健当局は張家界市内の劇場に注目し、それぞれの居住地へと戻った約5000人について追跡調査を行っている。
報道によると、1公演あたりの収容人数は約2000人。
張家界市内のすべての観光スポットは閉鎖され、観光客は市外へ移動する前にウイルス検査を受けるよう求められていると、地元メディアは報じた。
「張家界市はいまや、中国の感染拡大の新たな中心地と化している」と、中国の呼吸器疾患の第一人者、鍾南山氏は記者団に述べた。
■首都・北京や武漢にも
新たな感染拡大は首都・北京にも到達しており、同市内での感染例も報告されている。
北京では、感染者が出た地域への全ての航空便やバス、鉄道が停止されている。また、観光客が同市内へ入ることも禁止されている。ウイルス検査で陰性判定となり、「移動が不可欠」な人のみが市内に入ることができる。
新型ウイルス感染症COVID-19が最初に確認された湖北省武漢にも感染が広まっており、7人の陽性が確認されている。
中国国営メディアによると、2020年6月以降、武漢では感染は確認されていなかったという。
先月に壊滅的な洪水が発生した河南省北部・鄭州や、南部・海南省も感染増加に見舞われている。
中国の国営英字紙・環球時報(グローバルタイムズ)は最近の感染流行について、昨年の「武漢以来の深刻な事態」だと伝えた。
また、別の社説ではCOVID-19対策に「あきらかな抜け穴」があると批判。「1つの欠陥が全国の多くの省や地域に影響を与えるのであれば、非常に憂慮すべきことだ。(中略)エピデミック(感染流行)に対処するうえでの組織的進展を強化する必要があることを示している」とした。
■ワクチンの効果は
今回の感染流行では、ワクチンを接種していた人の感染も確認されており、ワクチンの効果に対する懸念が高まっている。
中国疾病管理予防センター(CCDC)の研究員は、ワクチン接種で予防できるとされる感染症にかかるブレイクスルー感染は「起こりうる」とした。
中国で最も一般的に使用されている2種類のワクチン(シノヴァク製とシノファーム製)の効果は、世界中の臨床試験で50%~79%程度となっているが、入院率や死亡率を抑えるのに高い効果があるとされる。
https://news.yahoo.co.jp/…/8c9cb49b4039e8bb5589de466ee3…