実は3年前にも似たようなコラムを書いたのですが、夏場になると特に増加する細菌性食中毒。その中でも2003年以降、連続して最も多い原因菌は「カンピロバクター」です。
皆さん「食あたり」というと、食べてすぐ発症する、食べた全員が発症する、とお思いでしょうが、それは違います。同じ物を食べても、原因となる一皿を大量に食べた人だけ発症する、そもそも体質として胃酸が多く分泌されている人は大丈夫だった、という例もあります。
さらに困ったことに、カンピロバクターは他の菌と比べて腸内での繁殖が遅いため、食後7~10日後に発症します。熱も出ますし、頭痛や筋肉痛などもあるため、カゼと間違えそうになりますが、下痢は必発です。
鶏肉には特に多く寄生しており、鶏肉のたたき、鶏レバーの生食や加熱不十分など「1週間ほど前に、焼き鳥屋さん行ってない?」と尋ねると、けっこう当たるんですね。お店側も気を使ってはいますが、生の鶏肉を調理した、包丁やまな板でトマトを切れば、それでも感染しますので、行ったけど生の鶏肉は食べてない、というのもアテになりません。ただこのカンピロバクターにはニューキノロン系の抗菌剤がとても有効で、入院するほどの重症化もありません。
一方、食べてすぐ起こる食中毒は、その辺に常在する黄色ブドウ球菌から出る菌毒素によるもので、古いおむすび・牛乳・卵焼きなど、食べて数時間で腹痛・嘔吐(おうと)を発症します。他にもサルモネラや腸炎ビブリオなど、食後すぐに発症する原因菌はたくさんあります。
食材が傷みやすい季節です。古くなったものは食べない、できるだけ加熱したものを食べるなど、予防できることはしっかりやっておきましょう。
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