2021/08/31【新型コロナウイルス:COVID-19】中国・武漢のコロナ感染者、入院した半数にいまだ後遺症 /中国

中国・武漢で2020年1~5月に新型コロナウイルスに感染、入院した1276人のその後の健康状態について調査した結果、多くは感染から12カ月がたっても、以前の状態に戻っていなかったことが分かった。
医学誌ランセットに発表された査読済み論文によると、調査対象とした患者のほとんどは、感染して入院、その後に回復している。だが、およそ1年がたっても、半数近く(49%)に少なくとも1つの症状があった。倦怠感と筋力の低下を訴える人が多く、20%がこれらを報告していた。
また、患者のおよそ30%に息切れの症状があり、このうち胸部CTスキャンと肺機能検査を受けた患者の相当数に、肺の異常や機能障害が確認された。肺機能に障害があった人たちは治療を受けて6カ月がたっても、改善がみられていなかった。
これらの問題が特に目立ったのは、入院中に人工呼吸器を必要とした患者たちだ。54%に肺機能障害、87%に(CTスキャンの結果での)異常が確認された。一方、人工呼吸器の助けが必要な状態にならなかった患者のうち、肺機能障害と異常が確認された人は、それぞれ23%、39%だった。
この研究ではその他、感染から12カ月後の時点で、26%に不安障害またはうつ病を発症していたことが分かった。6カ月後にこれらの症状があった人の割合と比べて、3ポイント増加していた。
■不明点が多い後遺症
感染した人の中に、症状が長く続く人とそうではない人がいる理由は、今のところ分かっていない。ただ、これまでの調査から、長期にわたって続く症状(新型コロナウイルス感染症の後遺症)として、200を超える種類が報告されていることが分かっている。
これは、この感染症が単なる呼吸器の病気ではなく、全身に影響を及ぼすものであることを示している。中には感染から数週間後、または数カ月後になって現れる症状もある。また、後遺症のリスクは、感染した時の症状の重さや、患者個人のリスク要因(年齢など)とは、それほど強い関連性はないとみられている。
後遺症の謎の解明が急務
専門家らは、ワクチン未接種の人(特に若年成人、ワクチン接種ができない年齢の子ども)の間で、感染力が強まった変異株「デルタ株」の感染が急速に広がっていることについて、これらの人たちが重症化したり死亡したりする可能性は比較的低いとしても、後遺症に悩む恐れはあるとして、その危険性について警告している。
さらに、ワクチン接種を完了した人でも、その後に起きる「ブレイクスルー感染」の危険性がある。
■現代の医学が直面する最大の課題
武漢での調査は限られた規模と範囲で行われたものだが(入院した患者のみが対象)、感染の長期的な影響が特に懸念されるという結論は、その他の研究結果と一致している。
ランセットに発表されたこの論文のエディトリアル(編集者の見解を記すエッセイ)は、「世界中の何百万人もの人たちを衰弱させる可能性がある」として、後遺症に関する理解を深める必要性は「さらに緊急性を増している」と強調している。
また、「後遺症を発症しているかもしれない数百万の人たちを特定してケアするための、効果が実証された治療法も、リハビリ方法に関する指針も、適切なシステムもない」として、次のように指摘している。
「医療費負担の増加や経済的損失、生産性の損失といった社会への影響は、相当のものになる。新型コロナウイルス感染症の後遺症は、現代の医学的が直面する最大の課題だ」
また、論文の著者の一人、北京にある中日友好医院の臨床医学研究所のXiaoying Gu医師は、「回復から6カ月よりも1年後に精神的症状を訴える人が増える理由は分からない」としつつ、原因としては「ウイルスそのもの、体の免疫応答、社会的接触の減少と孤独」などが考えられると述べている。
後遺症と健康への影響に関する理解を深めるためには、回復した患者たちについての「大規模かつ長期的な研究」が必要だという。
https://news.yahoo.co.jp/…/a1be166cb15b2c6b53d7b8aa60f9…

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