2021/09/07【新型コロナウイルス:COVID-19】感染者数減少 専門家「医療体制改善には不十分 再び増加も」

東京都内では新型コロナウイルスの新規感染者数が6日の発表でおよそ50日ぶりに1000人を下回るなど、減少傾向にありますが、感染症対策に詳しい専門家は「医療提供体制を改善させるためには十分な減少ではなく、学校の再開などで今後、増加に転じるおそれもある」として、引き続き感染対策を徹底するよう呼びかけています。
6日発表された都内の新型コロナウイルスの新規感染者数は968人で、7月19日以来、およそ50日ぶりに1000人を下回り、15日連続で前の週の同じ曜日を下回るなど、感染者数は一時よりは減少傾向にあります。
これについて国際医療福祉大学の松本哲哉教授は「感染者数が減ること自体は本当にいいことで、1000人を切ったのは良い材料なのかなと思うが、実態を反映した数字なのか気になるところもある」と述べました。
また感染者数が減少した理由については「極端に人流が減ったわけではなく、明確な理由は見当たらない」としたうえで「かなり感染者数が増え、医療現場も逼迫していることが明らかになった。こうしたなか『今、感染するのを避けなければならない』と感じリスクが高い行動を避け、慎重な行動をとる人が増えた可能性がある」との見方を示しました。
一方で、現在の感染者数の水準については、「ピーク時の5000人などという高い数字を基準にすると減っているが、医療提供体制の改善には、まだ十分ではない。入院し適切な治療を受ければ助かる命が助けられないと言う事態が今も実際に起こっている。この規模の感染が続けば、重症者や死者数も増えていくおそれがある」と述べました。
また、今後の見通しについては、「学校の再開などで感染者数が増える要因が出てきているので、このまま減っていくとは考えにくい。場合によっては今月の後半くらいに増加に転ずるおそれもある」との見方を示しました。
そのうえで、今月12日に期限を迎える緊急事態宣言について「このタイミングで解除すれば、“感染は落ち着いたし、行動制限はしなくていい”というメッセージを多くの人に伝えてしまうことになりかねない。医療の状況を改善させるためには宣言を解除すべきタイミングではないと思う」と話しています。

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