魚介類に隠れているとされる線虫アニサキス。刺身のような加熱が不十分な魚介類を食べた場合、アニサキスが原因で食中毒が発生する事例が年々増えているそうだ。このアニサキスに正露丸が殺虫効果を持つとする論文が出され話題となっているという。正露丸がアニサキスの活動を抑える効果があるとする話は以前からあったが、正しい効果が証明されていたわけではなかった( Open Journal of Pharmacology and Pharmacotherapeutics、論文navi、ナゾロジー)。
研究は高知大学理工学部の研究グループが行ったもので、正露丸1錠を溶かした溶液を作成、線虫をこれらの試験溶液に30分間暴露させたのちに生死を確認した。結果、正露丸によって活動が阻害された線虫の91.7%が死亡していたことが分かった。この論文では、正露丸を通常の用量で処方することにより、アニサキスの幼虫を殺し、死亡した線虫はおそらく胃液で消化されることになるだろうとしている。
ただ消化器外科専門医の山本健人氏は、Yahoo!ニュース個人に掲載した記事で、まだ特効薬として紹介するのは気が早いとする指摘を行っている。同氏によればこの研究自体は、あくまで試験管の上で行われた基礎研究にすぎず、実際に多数のアニサキス症の患者に投与し、臨床試験をした上で実際に効果があるのか検証していく必要があるとしている。
https://www.zaikei.co.jp/article/20210915/638812.html