2021/09/30【新型コロナウイルス:COVID-19】コロナ感染の妊婦 第6波に備え専用病床確保 東京・墨田区 /東京都
新型コロナウイルスの第5波で、感染した妊婦に対応できる入院先が見つからないケースが課題となり、東京・墨田区は、第6波に向けて専用病床を確保し備えようとしています。
第5波による感染の急拡大で、千葉県で感染した妊婦の入院先が見つからず、自宅で出産した赤ちゃんが亡くなるなど、感染した妊婦への対応が課題となりました。
このため、東京・墨田区は、区内にある賛育会病院に感染した妊婦や子どもを受け入れる専用病床を7床確保し、都が入院調整を行っても受け入れ先が見つからない場合などに、対応してもらうことになりました。
この病院は、これまで新型コロナの対応にあたる「重点医療機関」ではありませんでしたが、第5波では受け入れ要請が相次ぎ、感染した妊婦があわせて21人入院し、いつ赤ちゃんが産まれてもおかしくないケースもあったということです。
病院は今後も妊婦を優先的に受け入れるとともに、コロナ治療を終えたあと、育児に不安がある場合にも産後ケアを行うなど、第6波に向けた備えを進めることにしています。
産婦人科の山田美恵部長は「妊娠中にコロナに感染したらどうなるのかと不安を感じる人は多いし、妊婦はコロナではなくても、搬送が困難なケースがみられる。第6波でさらに感染が拡大すれば、なかなか受け入れ先が見つからないことが起こってくると思うので、感染して困っている多くの妊婦に対応したい」と話しています。
【出産直前に感染した女性は】
都内に住む30代の女性は、新型コロナウイルスの感染が急拡大していた8月、出産予定日を9日過ぎていつ赤ちゃんが産まれてもおかしくない時期に感染が分かりました。
出産に向けて、かかりつけの病院でPCR検査を受けた際に感染が分かったということです。
病院からは「陽性になった妊婦の出産は対応が難しい」と説明があり、受け入れ先が探されましたが、病床がひっ迫する中で病院が決まるまでおよそ6時間かかったということです。
その間、女性は無事に出産できるか不安で、家族に「搬送先見つからない」「不安すぎて泣ける」などと、LINEのメッセージを送って気持ちを落ち着かせようとしたといいます。
そして、自宅から離れた墨田区内の病院で受け入れが可能となり、午前1時ごろに搬送され、帝王切開で赤ちゃんを出産しました。
しかし、感染防止のため、すぐに別々の病室に分けられ、赤ちゃんには触れることができず、女性は当初、軽かった症状が悪化し、一時、酸素の投与が必要な状態になったということです。
女性は「搬送先が決まるまでは、赤ちゃんに対して『こんなことになって申し訳ない』という気持ちと、『安全に外に出してあげたい』という気持ちでした。出産後はしゃべるのも息苦しく、つらい状況でしたが、看護師さんたちが『コロナにかかったのはあなたのせいじゃない』と言ってくれたのが救いになりました」と振り返りました。
そのうえで「まさか自分が感染するとは思っていなかったが、感染して本当につらかったので、妊婦のかたは感染のリスクを避けて過ごしてほしい」と話していました。
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