2021/12/14【新型コロナウイルス:COVID-19】ファイザーの飲み薬「オミクロン型に効果」 初期分析 /アメリカ・ファイザー
米ファイザーは14日、新型コロナウイルスの経口治療薬として開発している「パクスロビド」について、新たに発生した「オミクロン型」のウイルスの増加を防ぐ効果があるという実験室での初期分析の結果を発表した。
パクスロビドは新型コロナ患者の治療に用いる飲み薬で、点滴による抗体カクテル療法に比べて患者や医療現場の負担を軽減できるとされる。オミクロン型に関する初期の治験では、パクスロビドが「プロテアーゼ」と呼ばれる酵素の活性を抑制し、オミクロン型のウイルスの複製を阻止する効果を確認したという。
一方、オミクロンではないデルタ型など既存のウイルスを対象とした別の治験でも飲み薬の効果が確認された。既往症や肥満などで重症化リスクの高い患者を対象とした最終治験では入院または死亡のリスクを89%低減することが分かった。初期症状から3日以内に薬剤を投与された697人のうち入院した患者は5人にとどまり、死亡例はゼロだった。これに対して、プラセボ(偽薬)を投与した患者682人のうち44人が入院し9人が死亡した。
同社は重症化リスクのない患者を対象にした治験も行っており、中間分析では入院または死亡のリスクを7割低減することが分かった。ただし、投与開始から4日以内に十分な症状の改善効果は得られなかったという。
ファイザーは11月にパクスロビドの緊急使用許可を申請し、米食品医薬品局(FDA)が審査している。同社は幅広い地域に同薬を供給するため、国連の関係機関がつくった非営利団体(NPO)「医薬品特許プール(MPP)」に製造ライセンスを供与することも決定済みだ。世界の低・中所得の95カ国に薬を供給するメーカーにライセンス使用料を免除し、途上国向けに安価に製造・販売できるようにする。
米メルクも経口治療薬「モヌルピラビル」の緊急使用許可を申請し、FDAの承認を待っている。同社もMPPを通じた製造ライセンスの供与を決定している。