2021/12/16【新型コロナウイルス:COVID-19】オミクロン株水際対策の限界を露呈 1日2~8人、陽性者の3分の1は検疫すり抜け
水際の検査すり抜けで、オミクロン株の国内での感染拡大の恐れが高まっている。
入国時、唾液中の新型コロナが持つ特徴的なタンパク質(抗原)の量を調べる抗原定量検査を行う。幅を持たせた基準値より多いか少ないかで陽性、陰性を判定。基準値内なら再検査し、なお判定不能ならPCR検査で結論を出す。
二重、三重の検査体制を取るが、到着時に陰性だった人が陽性に転ずる例は後を絶たない。厚生労働省によると、12日までの1週間で、陽性が判明した入国者は約90人。このうち、到着時は陰性で、到着から3日目以降に陽性と判明した人は約30人に上る。つまり3分の1は到着時は陰性で、毎日2~8人が検査をすり抜けている。
一因として、航空機内など渡航中に感染すれば、直後の検査はウイルス量の少なさから陰性となる可能性がある。厚労省の担当者は「それが要因か、はっきりとは言えない」と話す。
今回、オミクロン株に感染した東京都の20代の女性は米国に滞在し、到着時の検査は陰性だった。陰性者は、オミクロン株流入のリスクが高い指定国・地域に滞在歴があれば、検疫所指定の施設で、3~10日間の待機が必要となる。しかし、女性がいた米テキサス州は当時は指定外だったため、即帰宅でき、水際対策の限界が露呈した格好だ。
一方で、厚労省は指定外の国や地域から入国した場合も、14日間の自宅待機中の慎重な行動を求める。食料品の購入や通院などを除く不要不急の外出や面会について「控えるようお願いしている」と強調した。