2021/12/17【新型コロナウイルス:COVID-19】AIが予測 オミクロン株拡大で東京感染者数1日3000人超のおそれ
新型コロナウイルスの東京都内の今後の感染状況を名古屋工業大学のグループがAI=人工知能を使って予測したところ、仮に変異ウイルスのオミクロン株の感染拡大と年末年始が重なるなどした場合、来月末には1日当たりの感染者数が3000人を超えるおそれがあるという計算結果となりました。専門家は「いま感染者数が少ないからと油断せず、対策を続けることが大切だ」と話しています。
予測を行ったのは名古屋工業大学の平田晃正教授のグループです。
グループでは人流のデータや過去の感染状況、それに現時点で報告されているオミクロン株の感染力やワクチンの効果に対する影響などのデータをAIに入力し、今後の東京都内での新型コロナウイルスの感染の広がりを予測しました。
その結果、仮にオミクロン株で感染経路の分からないいわゆる「市中感染」が16日に始まったとした場合は、東京都内の1日の感染者数は来年1月末には3000人を超え、2月中旬にはおよそ3700人という計算結果になったということです。
一方、オミクロン株の「市中感染」が1か月後の来月16日に始まると仮定した場合は、2月下旬に2000人を超えるものの、その後は最大でも1日2200人余りという結果でした。
グループによりますと、オミクロン株の感染拡大と人の移動や飲み会などが増える年末年始の時期が重なると、その後の感染が大きくなるおそれがあるということです。
平田教授は「いまは検疫をかなり厳しくしているが、オミクロン株が入ってくるのを完全に防ぐのは難しいと考えられる。いま感染者数が少ないからと油断せず、対策を続けることが大切だ」と話しています。
■オミクロン株 都内で2人感染 沖縄でも
東京都によりますと、17日は都内で新たに2人がオミクロン株に感染していることが確認されました。
このうち1人は、16日にオミクロン株の感染が確認された女性の濃厚接触者で、今月12日に川崎市で行われたサッカー天皇杯の準決勝を見に行っていて、都は近くにいた観客に地元の保健所を通じて検査を受けるよう呼びかけています。
また、沖縄本島北部にあるアメリカ海兵隊基地のキャンプハンセンに勤める基地従業員の50代の日本人男性が、新型コロナの新たな変異ウイルス「オミクロン株」に感染していることが関係者への取材でわかりました。
沖縄県が濃厚接触者についても検体を分析しています。
■新型コロナ感染者数 下げ止まりの状況
新型コロナウイルスの新規感染者数を1週間平均で比較すると、全国の感染者数は去年の夏以降で、最も少ない水準が続いていますが、東京都など、感染者数は少ないもののやや増加したところもあり、全国でも前の週の1.12倍と下げ止まりの状況となっています。
NHKは各地の自治体で発表された感染者数をもとに、1週間平均での新規感染者数の傾向について前の週と比較してまとめました。
■全国 新規感染者数の状況は
全国では、ことし8月末から新規感染者数が減少し、
▽先月18日までの1週間は前の週に比べて0.84倍、
▽先月25日は0.67倍と先月下旬まで13週連続で減少していました。
その後、
▽今月2日は0.99倍、
▽今月9日は1.10倍、
▽16日まででは1.12倍と下げ止まりの状況となっています。
また、1日当たりの新規感染者数はおよそ127人と去年の夏以降で最も少ない水準が続いています。
■1都3県 新規感染者数の状況は
東京都は、
▽今月2日までの1週間は前の週に比べて0.98倍、
▽今月9日は1.11倍、
▽16日まででは1.26倍で、感染者数は少ない状態ですがやや増加しています。
1日当たりの新規感染者数はおよそ21人、直近1週間の人口10万人当たりの感染者数は1.06人となっています。
神奈川県は
▽今月2日までの1週間は前の週に比べて0.82倍、
▽今月9日は1.04倍、
▽16日まででは1.47倍で、1日当たりの新規感染者数はおよそ16人となっています。
埼玉県は
▽今月2日までの1週間は前の週に比べて1.20倍、
▽今月9日は1.04倍、
▽16日まででは0.85倍で、1日当たりの新規感染者数はおよそ7人となっています。
千葉県は
▽今月2日までの1週間は前の週の1.32倍、
▽今月9日は1.28倍、
▽16日まででは1.38倍で、1日当たりの新規感染者数はおよそ7人となっています。
■沖縄県・北海道 新規感染者数の状況は
沖縄県は先月中旬までは13週連続で減少していましたが、
▽今月2日までの1週間は前の週の1.44倍、
▽今月9日は1.77倍、
▽16日まででは1.30倍で、1日当たりの新規感染者数はおよそ4人となっています。
北海道は
▽今月2日までの1週間は前の週の0.61倍、
▽今月9日は0.53倍と3週連続で減少していましたが、
▽16日まででは1.10倍で、1日当たりの新規感染者数はおよそ5人となっています。
■関西 新規感染者数の状況は
大阪府は
▽今月2日までの1週間は前の週の0.97倍、
▽今月9日は0.90倍と
▽16日まででは0.88倍とほぼ横ばいの状態が続いていて、1日当たりの新規感染者数は11人となっています。
京都府は
▽今月2日までの1週間は前の週の0.24倍、
▽今月9日は2.25倍、
▽16日まででは2.00倍で、1日当たりの新規感染者数はおよそ3人となっています。
兵庫県は
▽今月2日までの1週間は前の週の0.97倍、
▽今月9日は1.32倍、
▽16日まででは0.78倍で、1日当たりの新規感染者数はおよそ4人となっています。
■中部 新規感染者数の状況は
愛知県は
▽今月2日までの1週間は前の週の1.00倍、
▽今月9日も1.00倍、
▽16日まででも1.02倍と横ばいの状態が続いていて、1日当たりの新規感染者数はおよそ6人となっています。
■専門家「年末年始は1人ひとりが注意を」
新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は、現在の感染状況について「まだ低いレベルが続いているが、下げ止まりから少し増加の傾向が見えている状況なのかもしれない。年末年始で人出が増加し、忘年会や新年会の機会も増え、ワクチンを打ってから6か月以上たって効果が下がってくることを考えると、感染が下がる要因はほとんどない。非常に注意しなければならないと思う」と話しています。
また、オミクロン株について、「水際対策でかなり防いでいることは間違いないが、完全なものではない。いつ市中感染のケースが見つかってきてもおかしくない状況だと思う。オミクロン株は感染性が非常に高いことに加えて、ワクチンを接種して6か月以上たつ人では免疫を回避して感染することも報告されているので、いったん国内に入ってしまえば急激に広がってしまうリスクを考えておかないといけない。接種後6か月がすぎた高齢者や免疫の働きが弱い人は早めにブースター接種を行うことが大事になる。また、自宅療養の体制を整え、異常が見られた場合に速やかに医療機関に移す体制を地域全体で作り上げていくことが大事だ」と指摘しました。
さらに年末年始の注意点について、「ワクチンを打って検査で陰性であったとしても、もしかしたら感染しているかもしれない。ウイルスが市中にいることを意識して一人ひとりが基本的な感染対策を取っていくことが大事になる。一人ひとりが注意しながら、帰省する、日頃会えない人と会うということを十分に注意したうえで行うことが大事だ」と話しています。