2022/01/08【新型コロナウイルス:COVID-19】業務停止・家に帰れず 濃厚接触者1.3万人超か 沖縄コロナ新規感染1414人 /沖縄県
新型コロナウイルス新規感染者の急拡大に伴い、濃厚接触者の数も膨らみ続け、沖縄県も把握できない規模に拡大している。濃厚接触者は14日間の行動自粛が求められ、県内の企業や福祉施設、学校、行政機関では自宅待機による欠勤者が続出。業務に支障が生じ、隔離期間の見直しを求める声も上がる。「第6波」は医療現場だけでなく、県民の社会生活も直撃している。
▽陽性1人に濃厚接触者12人
専門家によると、感染者1人に対する濃厚接触者は平均4~5人。1~7日の新規感染者の合計3476人を単純計算すると、今年に入って少なくとも、延べ1万3千人以上の濃厚接触者が出ているとみられる。
本島中部で働くメンテナンス業の男性=30代=の会社は6日、従業員1人のコロナ感染が判明した。男性によると、社長が全従業員12人を濃厚接触者と判断し「PCR検査の結果が出るまで出勤しないように」と指示。全員が欠勤し、7日から業務が止まっている。
男性は指示を受け、7日に受検。「検査結果が出るまで出勤できず、この間は修理依頼を断らざるを得ない」と肩を落とす。ただ、社長の判断は「家族にうつす可能性があるので適切だと思う」と納得している。
▽介護の応援派遣、需要増
コロナで職員が足りなくなった高齢者施設などへ応援要員を派遣する、県の事業を受託するソーシャルアクション(浦添市)は今年、既に2施設から7人の要請を受けた。職員が感染者や濃厚接触者になり「人手不足で家に帰れない」との切実な声もあるという。
ただ、登録している事業所にも余力がなく、派遣できたのは4人にとどまる。
崎濱隼次代表は「職員の欠勤が長期化すると介護現場が持たない」と指摘。「隔離や健康観察期間の短縮の議論も必要では」と話す。
▽足りない人手
今年に入って教職員1人が感染した県内の学校は、複数の教職員が濃厚接触者となったため2日間、臨時休校した。教頭は「新たな陽性者が確認されなかったのは幸いだが、来週から授業が再開される。どうなるか分からない」と戸惑いを隠せない。
県は小中高生を対象に、感染者が一人でも発生すればクラス全員を検査する学校PCR検査を実施している。多くの教員が接触者となれば授業ができず、休校になる場合が多い。
本部町役場は昨年末、職員約200人のうち、感染者6人と濃厚接触者24人の延べ30人が欠勤。人が足りなくなった部署は他部署から応援を呼んで対応した。行政機能を維持するため、来週から職員を2班体制に分け、交互に出勤する。平良武康町長は「感染対策を徹底し、緊張感を持ってやっていく」と語った。
[ことば]濃厚接触者 感染者と一定時間接触のあった人。同居者や、マスクなしで感染者と15分以上接触があった人などが対象だが、状況を聞き取った上で保健所が判断する。
保健所に濃厚接触者と判断されると、これまでは原則としてホテルで14日間隔離され、期間中に3回のPCR検査を受けていた。現在は自宅療養が認められたほか、検査をしなくていい運用に緩和された。
感染が急拡大している県内では、保健所の追跡調査が追い付かず、企業などの自主的判断で職員らの自宅待機を求める事例も多くなっている。