2022/01/31【新型コロナウイルス:COVID-19】塩野義、コロナ薬にウイルス減効果 1000万人分生産体制
塩野義製薬は31日、開発中の新型コロナウイルスの飲み薬について、医薬品の審査を担う医薬品医療機器総合機構(PMDA)に体内のウイルス量を下げる効果を示す臨床試験(治験)データを提出したと明らかにした。早期の承認申請に向けてPMDAや厚生労働省と協議を続ける。4月以降に年1000万人分以上の生産体制となる見通しを示した。
開発中の飲み薬は感染初期に投与して、重症化の抑制と発熱やせきなどの症状改善を狙う。実験室レベルの分析では変異型「オミクロン型」にも有効だったとしている。無症状者や軽症者、中等症患者を対象とした最終段階の治験のうち、体内のウイルス量を下げる効果を確認する前半部分で得たデータをPMDAに提出した。後半部分は症状改善や発症率低下の効果を確かめる。計約2100人の対象者の募集を急いでおり、韓国にも治験を拡大。シンガポールやベトナムなどでも順次始める。
実用化後にすぐに供給できる体制の整備を進めており、3月末までに100万人分を生産する方針。4月以降に年1000万人分以上の生産体制となる見通しを示した。海外供給に向け米食品医薬品局(FDA)や欧州医薬品庁(EMA)と協議を進めており、海外製薬大手との提携も検討している。
同日、新型コロナワクチンの開発状況も発表した。英アストラゼネカのワクチンと有効性を比較する国内での最終治験は約1000人の募集を完了。それぞれのワクチンを2回接種した後にウイルスの感染を防ぐ「中和抗体」の量を調べる予定で、全員への1回目の投与を終えた。並行して実施中の追加接種向けの治験と中期治験は予定数の投与を終え、データの解析を進めている。
塩野義が31日に発表した21年4~12月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高にあたる売上収益が前年同期比2%減の2196億円、純利益は20%減の710億円だった。アストラゼネカからの高脂血症治療薬のロイヤルティー収入の減少が響いた。新型コロナ関連製品の研究開発費用もふくらんだ。