2022/02/12【新型コロナウイルス:COVID-19】高齢者施設「置いてけぼり」 感染も入院ままならずクラスター急増

新型コロナウイルス感染「第6波」でオミクロン株の拡大が止まらず、高齢者施設が窮地に追い込まれている。病床逼迫(ひっぱく)で、陽性患者が出ても施設での待機を強いられ、周囲に感染が広がってクラスター(感染者集団)が発生。一方、病院側では入院患者の大半が高齢者となり、介護を含むケアの負担も限界に近づいている。
「施設の入所者は、新型コロナウイルス感染が始まった2年前から置いてけぼりだ」。大阪介護老人保健施設協会(大阪市)の関係者は憤りを隠さない。
協会によると、施設に入所する高齢者の陽性が確認されても入院できない状態が続いている。今年1月下旬には、大阪府内の複数の施設が入所者の救急搬送を要請した際、救急隊から「血中酸素飽和度が90%を切らないと入院は難しい」と告げられた。
一般にコロナ患者は血中酸素飽和度が96%を切ると「中等症1」、93%以下で酸素投与が必要な「中等症2」とされ、90%を下回るのはさらに悪化した状態だ。先の関係者は「高齢者は重症化リスクが高く、陽性者が全員入院できる体制が必要だ」と強調する。
現在は、1月下旬よりもさらに状況が悪化している。大阪府内の軽症・中等症病床の使用率は今月7日に100%を超え、同日までの6日間で「中等症2」以上の入院患者の割合は4割を超えた。一方、療養者に占める入院患者の割合を示す入院率は過去最低水準の2%台で推移。府の担当者は「施設では酸素投与できるケースもあり、独居の高齢者が先に入院することもある」と説明する。

■隔離難しく

ただ、施設では多くの高齢者が生活しており、発症した入所者の厳密な隔離が難しいために感染が広がりやすい。こうした事情から全国の高齢者施設でもクラスター(感染者集団)が急増し、厚生労働省の集計では、1月10~16日62件▽17~23日136件▽24~30日252件▽31日~2月6日292件-と1カ月で約5倍になっている。
高齢の入所者の感染を防ぐため、各施設ではワクチンの追加接種を急ぐ。だが、全国老人保健施設協会などが5829の高齢者施設を対象に行った調査によると、入所者、職員ともに接種がほぼ完了した施設は40・8%だが、入所者と職員のいずれも終えていない施設は42・2%に上る。ワクチンや接種券が届くのを待っている施設が多いという。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

  1. 2017-8-7

    学術雑誌「医療看護環境学」を創刊致しました!

    学術雑誌「医療看護環境学」を創刊致しました! どうぞご利用ください! 医療看護環境学の目的 …
  2. 2021-4-1

    感染症ガイドMAP

    様々な感染症情報のガイドMAPです 下記のガイドを参考に、情報をお調べください。 感染症.com…
  3. 2021-4-1

    感染症.comのご利用ガイドMAP

    一緒に問題を解決しましょう! お客様の勇気ある一歩を、感染症.comは応援致します! 当サイトを…
  4. 2022-9-1

    感染対策シニアアドバイザー2022年改訂版のお知らせ

    感染対策シニアアドバイザーを2022年版に改訂しました! 感染対策の最前線で働く職員の…
  5. 2022-9-1

    感染対策アドバイザー2022年改訂版のお知らせ

    感染対策アドバイザーを2022年版に改訂しました! 一般企業の職員でも基礎から学べ、実…

おすすめ記事

ページ上部へ戻る