2022/04/12【新型コロナウイルス:COVID-19】オミクロン株派生型「XE」、感染力や重症度は 日本で初確認、国立感染症研究所の見解
新型コロナウイルスのオミクロン株派生型「XE」の感染者が4月11日、日本国内で初めて確認された。BA・2より感染が広がりやすい可能性が指摘されているが、国立感染症研究所の分析を基に特徴を調べてみた。
厚労省によると、感染が判明した30代女性は2022年3月26日に成田空港に到着。米国に滞在歴があり、無症状だった。入国時の検査で感染が確認されたため陽性者用の施設で所定の期間療養し、その後退所した。米ファイザー製ワクチンを2回接種済みだった。国立感染症研究所が女性の検体の遺伝子配列を詳しく解析した結果、XEと判明した。
■「XE」とは
世界的なオミクロン株感染者の急増、そしてBA.1系統からBA.2系統への置き換わりが進行する中で、世界各地からこれらの組換え体が報告されており、XEは従来型BA.1と派生型BA.2の遺伝情報が交ざっている。
■「XE」の感染力は
XE系統は、イングランドではコミュニティ伝播が確認されており、感染者の増加する速度がBA.2より12.6%高いことが報告されている。直近3週間に限れば20.9%高いとの解析結果もあるが、まだ詳しく分かっていない。イングランドでは4月5日時点で1125件が報告されているが、全体に占める割合は1%未満となっている。日本で確認されたXE系統の株が、英国で流行しているものに由来するか、それとは異なる場所で生じた組換え体であるかはゲノム情報だけから判定することはできないという。
■「XE」の重症度は
他国からも検出されたとの報道があるが、重症度などの変化に関する報告はない。ウイルスの基本的な性質や、薬やワクチンの効果はBA・2と同じと考えられている。
■「XE」以外に確認された検体とは
また、遺伝子配列上はオミクロン株間の組換え体と考えられる検体が検疫でほかに2検体検出されているが、これまで分類されている系統には該当せず、詳しいタイプを特定できないという。
感染研は「XE系統に限らず、また、組換え体に限らず、感染拡大状況を注視し、感染・伝播性や免疫回避等の生物学的性質が大幅に変化し社会に大きなインパクトをもたらす変異株の発生を監視していく必要がある。引き続き、諸外国の状況や知見等も収集しつつ、ゲノムサーベイランスによる監視を行っていく」としている。