世界保健機関(WHO)は20日、天然痘に症状が似ている「サル痘」の感染が欧州など11カ国で確認されたと発表した。「さらに多くの症例が報告される可能性がある」とし、各国の感染状況を調査する方針を示した。
WHOによると、11カ国でこれまで約80件の感染例が確認され、感染が疑われるケースも50件報告された。英BBC放送の情報では、今月以降、英国やフランスとイタリアなどの欧州諸国のほか、米国やオーストラリアなどで感染者が見つかっている。日本での感染発表はない。
米疾病対策センター(CDC)の専門家は米CNNテレビに対し「サル痘は通常、西アフリカか中央アフリカでしか報告されず、米国や欧州では見られない」と指摘。「現在報告されている症例数は、われわれの正常な水準を間違いなく逸脱している」と危機感を示した。
サル痘は主にアフリカの森林地帯で発生する動物由来の感染症。体に発疹ができるほか、発熱、頭痛などの症状が出る。WHOは「症状は通常2週間から4週間続く」としたが「天然痘に比べると重症化しにくい」(CNN)との見方もある。
CNNなどによると、サル痘はウイルスを保有した野生動物に触れることで感染するとされる。市中感染のリスクは低いが、飛沫(ひまつ)や体液などを通じて感染する可能性もある。