2022/05/30【サル痘ウイルス】サル痘の症状・致死率、感染経路は 現時点で分かっていること WHO発表では23カ国に拡大 /WHO
世界保健機関(WHO)は5月29日、動物由来のウイルス感染症「サル痘」について、従来継続的に発生してきたアフリカ諸国以外の欧米を中心とした23カ国で5月、257人の感染が確認されたと発表した。拡大を続けるサル痘について症状や致死率などを調べてみた。
■サル痘の症状とは
主にアフリカ西部や中部の熱帯雨林地域で起きているウイルス感染症です。症状は発熱や体の痛みから始まり、顔や手足にぶつぶつとした膨らみができ、かさぶたになります。多くは2~4週間で治りますが、子どもや免疫力が低下した人は重症になることもあり、アフリカで患者の1~10%が死亡しています。23日までに欧米の患者に死者は出ていません。
■サルからうつる病気か
1958年に実験動物のサルから発見されて名前が付きましたが、自然界でウイルスを持っているのはアフリカにすむリスの仲間と考えられています。サルやウサギにも感染します。かまれるなどした人がかかることがあります。
■なぜ欧州に感染者
まだ分かっていません。5月に入り英国などが患者の確認を発表しましたが、アフリカ西部や中部に渡航した人は一部です。人から人に簡単に広がるウイルスではないものの、対面で話す時に飛沫(ひまつ)を浴びたり、体液や症状の出た皮膚に触ったりしてうつることがあります。今回の患者の中には性交渉で感染した人もいるようで、感染経路の調査が進んでいます。
感染から発症まで5~13日かかるため、欧州などに入ってから患者として見つかることはありました。欧州内で人から人に直接うつったと思われる事例は、今回が初めてのようです。米国で2003年、輸入動物を感染源として47人がかかった際には、人間同士の感染や死者はゼロでした。日本では03年から感染症法に基づき集計しており、今月23日までに報告はありません。
■感染対策は
ワクチンや治療薬はありますが、どこでも手に入る状態ではありません。各国は病気について周知を進めて症状がある人に病院にかかってもらい、接触者も見つけて拡大を食い止めようとしています。もし発熱や発疹がありサル痘が疑われる場合は、人にうつさないようマスクをして手を清潔にすること、また患者が使った寝具や衣類に直接触らず手袋を着けて扱うことなどが対策となります。
■感染者が多く出ている国
感染者は英国が群を抜いて多く106人。次いでポルトガルの49人、カナダの26人、スペインの20人と欧米諸国に集中しています。感染が疑われるものも約120件に上っています。
■感染者の傾向
感染者の大半は流行地域への渡航歴がなく、男性の同性愛者が多い。体液や飛沫(ひまつ)のほか、感染者が使用した寝具を介して感染するため、患者の隔離と感染経路調査の徹底をWHOは求めています。