世界保健機関(WHO)の緊急対応責任者マイク・ライアン氏は1日、気候変動の影響により、サル痘やラッサ熱といったウイルス性感染症の感染拡大がより持続的で頻繁になっている、と警告した。
同氏は、地球規模の気候変動が干ばつなどを通じて各地の気象条件を急激に変化させた結果、動物間の感染にとどまっていたウイルスがヒトに伝播する傾向が強まっていると指摘。「残念ながら、病原体が強力化してわれわれの社会を動き回る能力が増大しつついる」と述べた上で、例えばかつてエボラ出血熱は感染がいったん収束してから次の感染拡大まで少なくとも3─5年の期間があったが、今はこの期間が3─5カ月あればありがたいほどだと説明した。
足元では本来アフリカの風土病だったサル痘も、アフリカ以外の地域に急速に広がっている。WHOは1日、アフリカ以外の地域で最初の感染症状が報告された5月初めからこれまでに、計30カ国で550件を超える発症が確認されたと明らかにした。