5月以降、欧米を中心に患者が増えている感染症「サル痘」の原因ウイルスは、2018~19年に確認されたウイルスから約50カ所の遺伝子の変異があり、感染力が増大している可能性があるとの分析結果を、ポルトガルの国立衛生研究所のチームが米医学誌ネイチャーメディシンに24日発表した。
チームは、5月に主にポルトガルで確認された患者ら15例のウイルスの遺伝子を解析。アフリカのナイジェリアで流行し、18~19年に英国やイスラエルなどに流入したウイルスとつながりがあり、約50カ所変異していると分かった。変異ペースは従来想定される速度の約6~12倍としている。
サル痘はウイルスに感染したリスなどの齧歯類やサルといった動物との接触で人に感染。発熱、頭痛、倦怠感や発疹が現れ、発疹への接触などにより人から人への感染も起きる。アフリカ中西部諸国で継続的に発生してきたが、5月以降、初めて世界の広範囲で感染が確認され、世界保健機関(WHO)は状況を評価する緊急委員会を開いた。