欧米を中心に感染の報告が相次いでいる「サル痘」について、人間への感染によってウイルスの変異が加速している恐れがあるとの解析結果を、ポルトガルの国立衛生研究所などのチームが発表した。変異によっては、感染力や毒性が高まった株が出現する可能性もある。論文が24日、医学誌「ネイチャー・メディシン」に掲載された。
チームがウイルスのゲノム(全遺伝情報)を分析したところ、ゲノムを構成するDNAの変異が約50か所見つかった。サル痘を含む近縁ウイルスの従来データから推定される数の6~12倍という。人間の体内にある、DNAを変化させる酵素が変異を引き起こしている可能性がある。
また確認されているウイルスはナイジェリア由来で、単一の感染経路を介して欧米に持ち込まれたとみられることもわかった。
水谷哲也・東京農工大教授(ウイルス学)の話「すぐに感染力や毒性が高まった株が現れるとは考えにくいが、変異への警戒を促す内容だ。感染の封じ込めが重要になる」