気温と湿度が上がってくると、食中毒のリスクも上がります。安心しておいしく食べられるお弁当づくりのコツを、料理家・上田淳子さん、日本防菌防黴学会・上田成子さんに教えてもらいました。
■傷みにくいお弁当づくりのポイント【つめ方・保存編】
お弁当の痛み具合は、加熱だけでなく”つめ方”や”保存方法・保存時間”にも関係が! いつもよりしっかりと意識して、安心して食べられるお弁当をつくりましょう。
●ご飯もおかずもしっかり冷まして
ご飯やおかずは温かいまま弁当箱につめると、内部やフタに水滴がついて菌が繁殖しやすくなります。お弁当箱につめてから冷ますのではなく、皿などに広げてしっかり冷ましてからつめて。
●ご飯やおかずは仕切る
【NG】
ご飯とおかずはお弁当箱付属の仕切りや、汁漏れしないおかずカップなどで仕切り、おかずの汁気がご飯に移らないように注意。
【OK】
おかず同士も汁気が混ざらないよう、1種類ずつカップなどに入れて。レタスなどの生野菜を仕切りに使うのはNGです。
●保冷剤をつけ、保冷バッグで保管
菌増殖のリスクは37℃近くでぐんと高まります。可能な限り、涼しい場所で保管するのが大前提。夏場は弁当箱の上下を保冷剤ではさみ、保冷バッグに入れましょう。
●つくってから3~4時間以内に食べきる
食中毒の原因菌は時間とともに増え、8時間後ぐらいにピークに達します。お弁当は長い時間おかずに、つくってから3~4時間後を目安に食べきって。
職場などに電子レンジがあるなら、食べる前にレンジ加熱すれば安心。その際は、お弁当箱・フタが電子レンジOKか確認を。
●ゆで野菜の水気はしっかり絞る
おひたしなどに使うゆで野菜は、いつも以上に水気をよく絞って。さらにカツオ節やいりゴマなど、水分を吸う食材であえるのがおすすめです。ドレッシングやソースは別添えにして食べる直前にかけて。
●おにぎりはラップで包んで握る
手で直接ご飯に触れるのは避けて。ラップで包んで握るか、ポリ手袋を着用してつくりましょう。
●のっけご飯は、具を別盛りに
牛丼やそぼろご飯弁当など定番ののっけご飯も、おかずの汁気がご飯に移ると菌が増殖しやすくなるので夏場はNG。おかずとご飯を別々につめていき、食べる直前にご飯にのせるようにして。
●混ぜご飯は避けた方が安全
ご飯にほかの食材が混ざると傷みやすくなります。ただし、梅干しや酢は抗菌効果があるので、混ぜ込んでもOK。すし飯にする、梅干しを刻んで混ぜご飯にするなど、うまく使いましょう。
■すし飯や梅ご飯が菌の繁殖を抑える理由
食品についた黄色ブドウ球菌を、32℃で5時間放置して増殖を調査した実験によると、もっとも菌の増殖を抑えられたのは刻んだ梅干しを混ぜたご飯、次にすし飯。
日の丸弁当のように梅干しをご飯の真ん中にのせるだけでは、全体に抗菌効果は行き届きません。