2022/07/24【RSウイルス】子どもの感染症が急増 コロナ以外にRSなども…救急搬送困難に

新型コロナウイルス感染症の第7波が到来し、救急搬送が困難になるなど小児医療が逼迫(ひっぱく)している。新型コロナ感染者が過去最多を更新し続けている上に、コロナ以外の感染症の流行が戻りつつあるからだ。2020年春に新型コロナの流行が始まってから「今が一番大変」という悲鳴が現場から上がる。

■外来が2倍に、新規患者の予約制限

22日、東京都港区の小児科クリニック「ばんびぃに」。青い防護服に身を包んだ時田章史院長が新型コロナの検査のため、綿棒を子どもの鼻に入れた。子どもが我慢していると、看護師は「すごいね」と励ました。診察室には、発熱した子どもとその親が次々と入ってきた。
ここ数日、クリニックに発熱患者が押し寄せ、外来患者は普段の2倍に。時田院長は「かかりつけの患者と家族を診るだけで精いっぱい」と新規患者の予約を制限している。
発熱患者の2~3割が新型コロナ感染者で、呼吸器症状を起こすRSウイルスなどの感染者も2割ほどいる。これらの検査キットが不足し、1週間前から希望数が届かなくなったため、平熱の患者にはなるべく検査せず診察だけにとどめる。
RSウイルスに感染して息苦しさを訴える子どもの保護者から夜間に電話があり、救急車を呼ぶよう助言したが救急隊に受け入れてもらえないことも。「新型コロナに感染した子どもでも、ワクチンを接種している方が症状は軽い。ワクチンの体への長期的な影響については、理論上、安全性が担保されている。ぜひ積極的に検討してほしい」と強調する。
都立小児総合医療センター(府中市)では、新型コロナやRSウイルスなどの感染症の流行で、救急外来への受診者が通常時の約3倍に増えた。コロナ感染者向けの診察室が空かないため、救急車に患者を乗せたまま数時間待つこともあった。幡谷浩史総合診療科部長は「さらに感染拡大すれば夏休みに予定する手術や検査のための入院を延期する可能性がある」という。

■「かぜと症状異なる場合、すぐ連絡を」

全国の新型コロナの新規感染者数は23日に過去最高の20万人超を記録。感染者の約3割が20歳未満で、小児感染者は増え続けている。一方、国立感染症研究所によると、小児が患者の大半を占める手足口病の1週間(7月4~10日)の1医療機関あたり患者数は新潟県5・25人、千葉県5・06人と警報基準5人を超えた。20年以降、新型コロナ以外の感染症はあまり広がらなかったが、再び拡大し始めている。
日本小児感染症学会理事長を務める森内浩幸・長崎大大学院教授は「子どもにとってオミクロン株はインフルエンザやRSウイルスより重症化しにくい。発熱しても対症療法しかないので、混雑する医療機関で何時間も待つより、自宅でゆっくり寝て水分や食事を取った方が回復する」と話す。ただし、「顔色が悪い、意識がもうろうとするなど普通のかぜと症状が異なる場合はすぐに医療機関と連絡をとってほしい」と呼びかける。
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