2022/07/24【サル痘ウイルス】WHO「サル痘」で緊急事態を宣言 “世界に急速に拡大している” /WHO
欧米などを中心に報告が相次ぐ「サル痘」についてWHO=世界保健機関は、日本時間の23日夜に記者会見し、感染の拡大が続いているとして「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。WHOは現在、新型コロナウイルスとポリオの感染拡大について緊急事態の宣言を継続していて「サル痘」は3つ目となります。
WHOは今月21日、各国の専門家や保健当局の担当者による緊急の委員会を開催し、欧米などを中心に感染が拡大する「サル痘」の状況について検討しました。
この検討結果を受けて23日、スイスのジュネーブで記者会見したテドロス事務局長は専門家などの委員会では、さまざまな意見が出され、宣言を出すべきかどうか全会一致の結論には至らなかったものの、サル痘の感染拡大についてはわからないことも多く、世界中に急速に拡大しているなどとして「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言に踏み切ったと述べました。
WHOは現在、新型コロナウイルス、それにポリオの感染拡大について緊急事態の宣言を継続していて「サル痘」は3つ目となります。
WHOによりますとサル痘は、これまでに75の国と地域で1万6000人余りの感染者が確認され5人が亡くなっています。
テドロス事務局長は、適切な対策を講じれば感染拡大は防げると述べ、まだ感染が確認されていない国も含めてウイルスの監視態勢を強化し、さらなる感染拡大を防いでいくべきだと訴えました。
■日本ではこれまで報告なし
厚生労働省によりますと、日本では集計が開始された2003年以降、サル痘の感染は報告されていません。
サル痘は感染症法上、狂犬病などと同じ「4類感染症」に指定され、診断した医師は患者の発生を保健所に届ける必要があります。
サル痘は現在、欧米だけでなく、日本に近い、韓国やシンガポール、タイ、台湾でも感染者が確認されています。
厚生労働省は都道府県などに対し事務連絡を出し、疑わしい患者があれば報告し、指定医療機関への入院体制を確保するよう求めています。
サル痘のウイルスは、水疱に含まれている液体などから新型コロナウイルスと同じようにPCR検査で調べることができることから、国立感染症研究所のほか、各自治体の地方衛生研究所でも検査体制の整備が進められています。