2022/07/25【新型コロナウイルス:COVID-19】新型コロナ“後遺症”に効果か 治療薬を新発見
新型コロナの後遺症の治療法がいまだ確率されていないなか、大学の研究グループが後遺症の治療に期待できる薬を新たに発見しました。
感染者数はこれまでにないほどに増え続けています。24日までの1週間、全国で確認された感染者は105万人。第6波のピークを大きく上回り、初めて100万人を超えました。
一方で、重症者は第6波の時よりも少ない水準で推移しています。
しかし、新型コロナウイルスには例え重症化しなくても、大きなリスクが潜んでいます。
“後遺症”に悩むAさん(30代):「実際にコロナにかかった時は軽症で そこまで強くつらい想いはしなかったので、それで終わればいいのかなと思うが、自分がかなり後遺症のなかでもひどいと診断されています」
それがコロナの後遺症です。厚生労働省の調査では新型コロナで入院した患者およそ1000人のうち13%の人が1年後にも倦怠(けんたい)感と疲労感が続いていると回答しています。
5カ月前に家族でコロナに感染したAさん。コロナの症状は軽かったものの、今も強い倦怠感で仕事もできない状態だといいます。
“後遺症”に悩むAさん:「正直一日中、本当に横になっていてトイレに行ったり最低限、身の回りの自分のことはできてはいるんですけど、なかなか何かしようと思い立って動いたりとかはほとんどできないですし外出も家でも杖をついているような状態なので」
Aさんはコロナから回復した3月に職場復帰をしたのですが、4月になっても強い倦怠感を感じていました。
ゴールデンウィークには検査のため10日ほど入院。その後も症状は改善せず現在はコロナの後遺症で休職中だということです。
“後遺症”に悩むAさん:「色々新しい情報を仕入れながら薬を色々と変えて頂いたりはしているが実際、何か…それで強く症状が改善されたりとかっていう実感がない状態なので、少しでも良くなる可能性があるのであればなんでもいいからやりたいというのが本音ですね」
そんな後遺症の治療に明るい兆しがあります。
東京慈恵会医科大学・近藤一博教授:「すでに使われている薬を使うことで困っている方の手元に(なるべく早く)お届けできるかなと我々は期待しています」
既存の薬がコロナの後遺症治療に効果が期待できることを東京慈恵会医科大学の研究グループが発表したのです。
その薬というのが認知症の治療薬として使われている「ドネペジル」です。
一体なぜ、認知症の治療薬がコロナの後遺症治療に期待できるのでしょうか。
それは研究グループが突き止めた後遺症の原因に関係があります。
近藤教授らの研究は、これまでなかった倦怠感やうつの症状を持つ研究用マウスを作り出すことから始まりました。
そのマウスの脳の異常を調べると、においを検知する「嗅球(きゅうきゅう)」という脳の一部に損傷がみられ、脳全体にも炎症が起きていることが分かったのです。
東京慈恵会医科大学・近藤一博教授:「新型コロナウイルスですね。鼻の奥にある嗅球という部分を攻撃すると。そのことによって、脳内のアセチルコリンという神経伝達物質が減っていて、脳が非常に炎症しやすくなる状態になるということを見つけました」
「アセチルコリン」とは脳の炎症などを抑制する神経伝達物質です。近藤教授はこの物質の減少が倦怠感やうつの症状の原因ではないかと考えました。
東京慈恵会医科大学・近藤一博教授:「アセチルコリンの不足を補うと、LongCOVID(後遺症)の治療につながるのではと。動物で非常に効果があった。ドネペジルは安全性が確認されている薬なのでLongCOVID(後遺症)に効くかどうかの治験がすごくやりやすい」
今年の秋から人に対する臨床試験が行われる予定です。
認知症の治療薬がコロナの後遺症に悩む人を救うかもしれません。