感染症法について
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
これまで知られていなかった感染症への対応や医学の進歩等を踏まえ、1999年4月に、それまでの伝染病予防法、性病予防法、後天性免疫不全症候群の予防に関する法律にかわり、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)が施行されました。
SARSと鳥インフルエンザの発生
その後、重症急性呼吸器症候群(SARS)や鳥インフルエンザ(H5N1)等の新たな感染症の発生動向等を踏まえ、2003年と2007年に改正されています。2007年の改正では結核予防法が廃止され感染症法に統合されました。感染症法では、対象とする感染症を感染力や罹患した場合の重篤性等を基づき、危険性が高い順に、1類感染症から5類感染症に分類しています。
感染症の分類と蔓延防止措置
1類~5類感染症に分類されていない感染症や新たな感染症等のまん延に迅速に対応できるように新型インフルエンザ等感染症、指定感染症及び新感染症の区分が用意されています。感染症の蔓延を防止するための措置として就業制限や入院等がありますが、感染症法では、これらの措置について、人権に配慮した手続きが規定されています。
検疫法の改正
2007年6月、入院・検疫等の措置の対象となる感染症分類が見直され、結核が2類感染症に取りこまれ、結核予防法は廃止されました。また、検疫法の一部が改正され、コレラおよび黄熱が検疫感染症から除外されています。
新型インフルエンザ等感染症の創設
2008年5月、鳥インフルエンザがアジア、欧州、アフリカまで拡大し、東南アジアではトリからヒトに感染する事例が発生しました。そのため、鳥インフルエンザ(H5N1)が2類感染症に追加され、新たに「新型インフルエンザ等感染症」という類型が創設されました。
時代に合わせて追加・分類
2011年2月、チクングニア熱が4類感染症に、薬剤耐性アシネトバクター感染症が5類感染症に追加されました。
高齢者介護施設で、しばしば集団感染や重篤化等の問題となる感染症として、腸管出血性大腸菌感染症やレジオネラ症、インフルエンザ等がありますが、腸管出血性大腸菌感染症は3類感染症に、レジオネラ症は4類感染症、インフルエンザ、ノロウイルス感染症(感染性胃腸炎)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症(MRSA感染症)、薬剤耐性緑膿菌感染症などは5類感染症に指定されており、法令に基づき、それぞれの区分に応じた対応・措置が必要です。
2016年2月、ジカウイルス感染症が南アメリカ大陸での流行を受け、世界保健機関により国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態が宣言される事態に発展し、ジカウイルス感染症は4類感染症に分類されました。
出典:一般社団法人医療福祉検定協会 「医療環境管理士公式テキスト&問題集」より一部抜粋