新型コロナウイルス対策の実効性を高めるための特別措置法の改正案や感染症法の改正案が、自民党の総務会で了承されました。政府は、週内にも法案を閣議決定し、今の国会で速やかに成立を図る方針です。
自民党は19日の総務会で、新型コロナウイルス対策の実効性を高めるための特別措置法の改正案と感染症法の改正案、それに水際対策を強化するための検疫法の改正案を審査し、いずれの法案も了承されました。
特別措置法の改正案では、緊急事態宣言の前でも、集中的に対策を講じられるよう「まん延防止等重点措置」を新たに設け、政府が対象地域とした都道府県の知事は、事業者に対し、営業時間の変更などを要請し、立ち入り検査や命令もできるようにするとしています。
そのうえで、こうした知事の命令に応じない事業者には、行政罰としての過料を科し、
▽緊急事態宣言が出されている場合は50万円以下、
▽宣言が出されていない「重点措置」の場合は30万円以下、
▽立ち入り検査を拒否した場合も20万円以下の過料を科すとしています。
また、感染症法の改正案では、都道府県知事が宿泊療養などを要請できる規定を新たに設け、感染者が応じない場合は入院の勧告を行い、それでも応じない場合や入院先から逃げた場合には「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」の刑事罰を科すなどとしています。
そして、検疫法の改正案では、海外からの入国者に対し、原則14日間の自宅待機などを要請できる規定を明記するほか、要請に応じない場合には、施設に「停留」させることや、これにも従わない場合には「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」の刑事罰を科すなどとしています。
政府は、これらの法案を週内にも閣議決定し、今の国会で速やかに成立を図る方針です。
自民 二階幹事長「罰則も用意 しっかり対応を」
自民党の二階幹事長は、記者会見で「国民を信頼しないわけではないが、国をあげて直ちに対応するということだ。罰則でみんな縛ってしまうわけではなく『しっかりやりましょう』ということで罰則も用意するということなので、誤解のないようにしてもらいたい」と述べました。
田村厚労相「医療機関の公表は丁寧に対応」
感染症法の改正案をめぐり田村厚生労働大臣は、閣議のあとの記者会見で、政府が、必要な協力の求めに応じない医療機関を公表できるとした規定の運用について、「命に関わる患者が多くいて医療機関がひっ迫していたり、医師や看護師がいて地域医療体制が確保できているのに患者を受け入れていなかったりするなど、その時の状況を総合的に勘案したうえで、丁寧に対応していきたい。決して強制力を持って無理やりという話ではなく、お互いの信頼のもと対応、協力をいただくということだ」と述べました。
世耕参議院幹事長「非常に意義がある」
自民党の世耕参議院幹事長は、記者会見で「改正案では、罰則によって一定の強制力を持たせたことに非常に意義がある。私権の制限は必要最小限にしなければならないが、ウイルスのまん延を防ぐ公益目的の中ではギリギリの線が選択されているのではないか」と述べました。