マイコプラズマ肺炎球菌 Mycoplasma Pneumoniae
マイコプラズマ肺炎の原因細菌です。
病原体について
マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマ肺炎球菌という微生物に よって引き起こされます。
マイコプラズマは、ウィルスなみに小さいです。マイコプラズマは、細菌に見られる細胞壁を持たず、そのため形が整っていません。いろいろな形が見られます。マイコプラズマは、ウィルスのように他の生物の細胞の力を借りて増殖するのではなく、細菌と同様に自分の力で増殖します。
マイコプラズマは、ウィルスと細菌との中間に位置する微生物です。
特徴
マイコプラズマ肺炎とは、病原微生物であるマイコプラズマの気道感染によって発症する肺炎でのことです。
ヒトからヒトヘの飛沫感染により感染者の3~10%が発症するといわれています。
マイコプラズマをウィルスに近い細菌と位置づけることもあります。細菌に見られる細胞壁を持たないために、細菌の細胞壁の合成を邪魔することによって効く種類の抗生物質(たとえば、ペニシリン)は無効です。
細菌性肺炎とは異なり、気道の感染防御に際立った弱点がない健康な青年男女にも発症するという特徴があり、これらの年代にみられる肺炎ではマイコプラズマ肺炎を疑います。
団体生活者などに集団発生することもあり、高齢者施設での増加傾向が認められております。
マイコプラズマ肺炎は4~5年ごとに流行年をみることがあります。
潜伏期間と主な症状
潜伏期は、だいたい2~3週間(14~21日間)ですが、4~32日の範囲内でも見られます。
マイコプラズマに接触してから1ヶ月経過した時点でマイコプラズマ肺炎が発病することもあるのです。このように比較的に潜伏期が長いため、施設での流行が起こると、施設での流行は数ヶ月続くことがあります。
症状としては、まず、発熱や頭痛を伴った気分不快が3~4日続きます。その間に咳がだんだんひどくなって来ます。最初は乾いた咳で痰もすくないですが、だんだんと痰も出るようになります。痰に血液が混ざってくることもあります。発熱や他の症状が消えても、咳はひどくなってきます。咳は、なかなか改善を見せず、4週間も長引きます。咳が一番ひどいのは2週目です。咳が長引く感染症としては、他に百日咳などが知られています。
但し、マイコプラズマ肺炎の症状にはかなり個人差があり、2~3日で治ってしまう人もいれば、治るのに1ヶ月以上かかる人もいます。
有効な抗生物質(エリスロマイシンやテトラサイクリンなど)による治療は、症状の期間を短縮し、治るのを早める効果が期待されます。
呼吸器の症状が出る前に1~3日早くに頭痛、咽頭痛、発熱、筋肉痛などが症状として現れます。次に悪感や戦慄を伴う高熱と、激しい咳などの症状が続きます。このため夜も眠れない、咳に伴う胸部の筋肉痛などの症状がみられます。ほかには、下痢、嘔吐、発疹も確認されることもあります。
マイコプラズマ肺炎の患者さんの胸部を聴診器で診療すると、軽い呼吸音の弱まりとわずかな雑音が聞こえることもあります。ですがわずかな雑音のために、通常胸部の聴診では症状を見つけにくいこともあります。
その他のマイコプラズマ肺炎の症状特徴としては、まれに手袋の着用時や靴下着用時に痺れる、あとは顔面神経麻痺などの運動麻痺などの症状がみられます。
注意すること
- マイコプラズマ肺炎に対するワクチン(予防接種)は今のところありません。
- 人ごみはできるだけ避けましょう。
- 鼻をほじるのであれば、手を洗ってからにしましょう。汚染した指を鼻の中に入れることによって、鼻の粘膜まで病原体を運んでしまう可能性があります。鼻をほじくるよりは、鼻をかんだ方が良いです。鼻をかんだ後のティッシューなどは、すぐにきちんと自分で始末しましょう。また、鼻をかんだ後にも手を洗いましょう。
- 他の人に向けて咳をするのは、やめましょう。咳の出る人はマスクを装着しましょう。
- マイコプラズマ肺炎の患者と同じ部屋で眠るのは控えましょう。