2020/08/05【新型コロナウイルス:COVID-19】「島民全体の命が危険にさらされている」感染拡大で離島に危機感 /沖縄県
新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めが掛からない。過去最多の感染確認となった4日、療養中の患者は計477人となり、県が第2波に備えて推計した「流行のピーク(425人)」を大きく突破した。感染は本島中南部だけでなく、医療体制が脆弱(ぜいじゃく)な離島にも広がっている。宮古島市と石垣市の両市長、竹富町長は4日に相次いで会見し「島民全体の命が危険にさらされている」と危機感をあらわにした。
■宮古島 飲食店でクラスター発生 店名公表に店側が全面協力
【宮古島】宮古島市の下地敏彦市長は4日、市役所で記者会見し、市平良西里のキャバクラ店「ラウンジ美月」でクラスター(感染者集団)が発生したとみられると発表した。同日、店の従業員や客の20~50代の男女12人の感染が判明。2日の3人と合わせ、計15人の感染が分かっている。
4日に新たに感染が分かった同店関係者12人中、男性1人、女性4人の計5人が大阪府や埼玉県、兵庫県など県外在住者だった。県は、感染源は島外からと推測している。不特定多数が店を利用した可能性があるため県が店名の公表を要請し、店側が全面的に協力したという。
同店とは別に、市内で4日、東京都在住の30代男性など3人の感染も確認された。市内での累計感染者数は20人となった。感染者増加で、市は検体採取センターの設置を検討している。
市によると、感染を確認した全員が県立宮古病院に入院中か入院調整中。市は「現時点で同病院は十分に対応できている」と説明した。感染者用の宿泊施設として、県が市内のホテルを借り上げる見通しも付いたという。同病院は今後、新たにPCR検査機器を導入し、検査体制を拡充する。
■石垣市 「命と健康を守るため」キャバクラ2店舗 同意を得られないまま公表
【石垣・竹富】石垣市は4日、利用客や従業員から新型コロナウイルス感染者が確認された市美崎町歓楽街のキャバクラ2店舗を公表した。うち1店舗は福井県に戻った後に陽性が判明した男性6人の濃厚接触者として従業員の女性6人がクラスター(感染者集団)となった「石垣島キャバクラAclub」。店側の同意は得られず県も慎重な姿勢を示していたが、市が独自に公表した。
市によると、同店では最初に感染が分かった7月30日以降、感染者数は今月4日までに10人に拡大している。美崎町内の別の店舗でも同日までに女性2人の感染が確認され、同意の上で2店舗目の「ShowLounge舞」も公表した。
会見した中山義隆市長は「美崎町で大きなクラスターが形成されつつある可能性がある。市民の命と健康を守るため公表に踏み切った」と強調。直近に2店舗を利用した人や従業員と接触した人に市の相談外来を受診するよう呼び掛けた。
竹富町の西大舛高旬町長は町民に「自分の体は自分で守るという強い意志を持ってほしい」と呼び掛け、「行政も島々で感染防止対策の啓発活動に取り組みたい」と厳しい表情で語った。
県八重山事務所は軽症者用ホテルを借り上げて運用を始めたと明らかにした。
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