ウイルスの変異について
1)突然変異は増殖におけるミスコピー
ウイルスは遺伝子のコピー(複製)によって増殖します。その複製の過程で突然変異が起こることや、同種のウイルス間で遺伝子組換えが起こって、性質の異なったウイルスが出現します。変異したウイルスを変異株、元のウイルスを野生株と言います。
2)代表的な変異例
ウイルスの変異の結果によりウイルスの性状が変化し、その性状変化は「宿主域変異」「弱毒変異」「抗原変異」「薬剤感受性変異」などがあります。
宿主域変異
ウイルスにはそれぞれの感染しやすい環境があり、今までと違う環境でも感染しやすくなり、今までと異なる宿主に感染できるようになる変異のことです。ニワトリに感染したインフルエンザウイルスがヒトに感染するようになることがあります。
弱毒変異
今まで宿主に対して毒性を表していた株の病原性が弱毒あるいは毒性がなくなる変異のことを指し、この変異は生ワクチンとして利用されます。
抗原変異
免疫系に対する変異のことです。インフルエンザなどで、予防ワクチンを難しくしている変異で、ウイルスの突然変異や遺伝子組み換えによってウイルス粒子表面の蛋白質の抗原性が変異します。抗原性が変異すると今まで攻撃を受けてきた免疫系から回避できるようになることがあります。
薬剤感受性変異
化学薬剤に対する変異のことです。ウイルス感染を予防したり、ウイルスを破壊したりするために多くの薬剤が使われています。ウイルス酵素遺伝子の変異により酵素が変異し、薬剤に耐性を持った薬剤耐性ウイルスが出現しています。
出典:一般社団法人医療福祉検定協会 「医療環境管理士公式テキスト&問題集」より一部抜粋