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- 2017/10/19【インフルエンザ、風邪症候群】今すぐ始めるインフル・風邪撃退術 年間1万人が“重病化”で命を落とす 子供の異変、発熱の有無を確認して早めの対処を
2017/10/19【インフルエンザ、風邪症候群】今すぐ始めるインフル・風邪撃退術 年間1万人が“重病化”で命を落とす 子供の異変、発熱の有無を確認して早めの対処を
毎年、インフルエンザの流行時には日本の人口の1割程度、およそ1200万人が発症し、重症化に伴い、約1万人が命を落としているという。厚労省によれば、昨シーズンは、60歳以上の入院患者が圧倒的に多かった。
「大人の重症化で最も注意が必要なのは、肺炎です。疲れて体力が落ちているときには、比較的若い方でも重症化することがあります」と、東京医科大学病院感染制御部部長の渡邉秀裕教授は警鐘を鳴らす。
高齢者の重症化では、(1)インフルエンザを発症して体力を使いきり、別の細菌などによる二次感染で肺炎になる(2)インフルエンザと同時に別の細菌などに感染して、ダブル感染で肺炎になる-というケースが多いそうだ。(2)は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心臓病、腎臓病などの基礎疾患を持っていると起こしやすい。そのため、65歳以上のワクチン接種の対象者に加えて、60~64歳で基礎疾患がある人も対象になっている。ワクチン接種でインフルエンザを予防することで、肺炎を防ぐことが重要なのだ。
「別の細菌などによるダブル感染では、高熱などのインフルエンザ様の症状があったときに通常インフルエンザでは、痰はあまり出ないが、黄色や黄緑色の痰が出ることが多いといえる。肺炎に進むリスクが高いので、早めに医療機関を受診して適切な対応が望まれます」(渡邉教授)
痰が出るのは、別の細菌が気道や肺に侵入して炎症を起こしている証し。一方、子供は、肺炎に加えてインフルエンザ脳症を起こすことがある。インフルエンザに伴い脳の中枢神経が悪影響を受け、重症化するとやはり命に関わる。
「インフルエンザ脳症は、5歳以下のお子さんに多い。乳幼児は、身体の防御反応で出される物質のコントロールがうまくいかず、肺炎や脳症などにつながることがあるのです。お子さんは、頭痛などの症状をうまく表現できないので、ご両親が症状を見逃さないことが大切です」
子供は発熱しても元気に過ごすことがある。そのため、食欲がない、あるいは、グッタリするなど異変があれば発熱の有無を確認した上で、すぐに医療機関へ。早めの対処が必要になる。
「誰もがインフルエンザ予防に努めることで、小さなお子さんやご高齢の方の重症化は防ぐことが可能だ。流行前の今の時期から、ぜひ予防に努めていただきたい」と渡邉教授は話す。拡散を防ぐ第一歩は、家族間での予防。できることから今すぐに始めるのが正解だ。