2020/06/01【新型コロナウイルス:COVID-19】イギリスで2か月ぶり小学校再開 賛否分かれる 新型コロナ /イギリス
イギリスでは、新型コロナウイルスの感染のピークは過ぎたとして、一部の地域でおよそ2か月ぶりに小学校が再開します。ただ、安全性への懸念から子どもを登校させない保護者もいて再開の時期を巡って依然、賛否がわかれています。
イギリスでは新型コロナウイルスの感染者は27万人以上、死者は3万8000人を超えていますが、政府は感染のピークは過ぎたとして外出制限などの緩和を進めています。
このうち、2か月以上にわたって休校が続いている学校についても段階的に再開していく方針で、1日からは、イングランドの小学校で1年生や6年生など一部の学年の登校が始まります。再開する学校では、教室の机の間隔をあけたり、生徒どうしの距離を保つために床や廊下に目印をつけたりするほか、ひとクラスの生徒数を15人未満にするなど対策がとられます。
ただ、学校の中には準備が十分に整っていないとして、再開時期を遅らせる決定をしたところもあるということです。
また、安全性への懸念から子どもを登校させない保護者が少なくない上、教員組合からは、子どもや教員自身を感染からどのように守るのか不安だとする声もあがっています。
さらに、専門家からも制限の緩和はまだ早いという意見が出ていて、学校再開の時期を巡って依然、賛否がわかれています。
子どもを登校させない家庭も
学校の再開について、日中、外で仕事をしていたり、子どもの学力の遅れを心配したりする保護者からは、歓迎する声が聞かれる一方、安全を確保できるのか懸念する声も根強いのが現状です。
ロンドンに住むカリナ・デソーザさんは、1日に学校が再開しても、小学6年生の次男を登校させないことを決めました。
次男は早く学校に戻りたがっているということですが、現在、同居している夫の母親が高齢で持病もあるため、学校で感染した場合、家族に感染が広がる危険性を考慮したといいます。
デソーザさんは「子どもにとっては、同世代の友達と過ごすのが精神的にもいいと思う。でも、それが家族の誰かの健康に影響を与えるとしたら話は別で、本当に難しい決断だった」と話していました。
学校側も対応に苦慮しています。
ロンドン北部にある小学校では、子どもたちを迎えるための安全対策の準備が間に合わないとして、1週間遅れの8日から再開することを決めました。
ジョン・ヘイズ校長は、「今後の学校生活はこれまでとは全く違ったものになる。特に低学年の子どもたちは、一緒に遊びたがる。距離をとらせるよう、常に心がけるようにしなくてはならない」と話していました。
ヘイズ校長によりますと、身近な人が亡くなっている家族も多く、安全を確保できるのか懸念する声も根強いことから、学校が再開しても実際、登校するのは対象になっている生徒の半数程度にとどまりそうだということです。
教員も不安
学校で働く教員の間でも不安は解消されていません。
イギリスの教員でつくる組合が5月中旬に行った調査では、回答した2万8700人余りのうち、「1日に学校を再開するのは安全ではない」と考える人が85%に上っています。
また、91%が「自分自身、そして子どもたちの健康を守る対策について自信がない」と答えています。
教員組合の広報担当、ギャレス・ヤングさんは「学校が完全に安全とは言えない中での再開は問題だと考えている。教員たちは、ウイルスに感染しないかどうかという問題を抱えている。その一方で、教員として子どもたちのために最善を尽くしたくてもやれることが限られていると非常に心配している」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/…/20200601/k10012452761000.html