蚊が媒介するデング熱に海外で感染した平成28年の患者報告数が330人(昨年12月18日時点)に上り、平成11年の調査開始以降、最多となったことが国立感染症研究所への取材で分かった。インドネシアやタイなど日本人観光客が多い東南アジア地域での感染が目立ち、感染研が渡航者へ注意を呼びかけている。
感染研の集計によると、海外での感染が疑われる患者報告数は年々増加傾向にあり、昨年は過去最多を記録した27年の報告数(292人)を大きく上回った。
報告数が増加した背景について、感染研感染症疫学センターの大石和徳センター長は「海外旅行者の増加に加え、国内での流行を経験して認知が高まり、多くの医療機関で検査ができるようになったことなどが考えられる」と説明する。
昨年1~11月までの報告数を地域別に分類したところ、インドネシア(109人)、フィリピン(59人)、ベトナム(27人)、タイ(24人)、マレーシア(16人)、シンガポール(6人)の東南アジアの6カ国で全体の74%を占めた。
デング熱はヒトスジシマカなどの蚊がウイルスを媒介する感染症で38度を超える高熱が出る。特効薬はなく、粘膜や消化管から出血するなど重症化すれば死亡する恐れもある。
大石センター長は「渡航先でも長袖や虫よけ剤の活用などを心がけ、急な発熱時には早期に医療機関を受診してもらいたい」と注意を呼びかけている。
http://www.sankei.com/life/news/170110/lif1701100011-n1.html