2021/10/21【公衆衛生】乳児10人 酸素欠乏 粉ミルク溶く水道水から基準値超える窒素 群大病院 外来も休止に /群馬県
群馬大は20日、同大医学部附属病院(群馬県前橋市昭和町)に入院中の乳児10人が、血液中の酸素が行き渡りにくくなる「メトヘモグロビン血症」を発症したと発表した。粉ミルクを溶く際に使う水道水(井戸水)から基準値を上回る窒素を含んだ物質が検出されており、これが原因とみている。乳児はいずれも快方に向かっているという。同大は病院での水道水の使用を中止し、詳しい調査を継続。安全が確認されるまでの間、各診療科の外来を休止する。
同大によると、新生児集中治療室(NICU)などに入院している乳児が発症した。19日午後5時ごろ、看護師が乳児の顔が青白くなっているのに気付き、計10人の発症を確認した。
病院では敷地内の井戸から水をくみ上げ、浄化して使用。複数の蛇口の水を検査したところ、水道法が定める基準値を上回る亜硝酸態窒素と硝酸態窒素が検出された。亜硝酸態窒素の最大値は1リットル当たり490ミリグラムで、基準値(1リットル当たり0.04ミリグラム)の約1万2000倍だった。8月末の定期検査では各種数値に異常はなかったとしている。
水道水の使用中止に伴い、病院はペットボトルや市水道局に要請した給水車の水で代用している。20日から歯科口腔(こうくう)・顎顔面外科の外来、救急搬送の受け入れを取りやめた。同大病院担当理事の斎藤繁院長は「地域や患者の皆さんにご迷惑をかけるが、安全が担保されない状況では通常の診療を続けられない」と説明した。
病院の出入り口には、水道水の使用中止を伝える張り紙が掲示された。周辺では、「手洗いはアルコール消毒液などで代用してほしい」と説明する職員の姿もあった。給水車は2台配備され、屋外からホースを延ばして入院患者の給食用に水を供給。看護職員らはポリタンクやバケツに入れた水を台車で運び、建物の内外を往復していた。
ペットボトルの飲料水を購入した病院職員は、水道が使えず不便だとして「早く原因を突き止めて対策を取ってほしい」と語った。病院と同じ敷地の医学部でも水が使えず、女子学生は「今のところ困っていないが、トイレに行く時にどうしよう」と話した。
事態を受け、市水道局は同日、同病院にも水道水を供給する敷島浄水場の水質を検査したところ、異常はなかったと発表した。周辺の住宅などに影響はないという。
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