2022/01/27【新型コロナウイルス:COVID-19】オミクロン 感染急拡大 新たにわかってきたこと

オミクロン株の感染急拡大がとまりません。
全国で1日に報告される感染者数は、デルタ株のときのピークのおよそ3倍になっています。
重症化リスクは低いとはいえ、入院患者数も増加し、病床のひっ迫が各地から報告されています。
その中で、オミクロン株でも異なる系統のウイルス「BA.2」が海外の一部で拡大しているという情報も出てきました。
いま、この状況で感染を防ぐためにどうすればよいのか。
分かってきたことをまとめました。
(2022年1月27日現在)。

■経験ない感染拡大のペース

新型コロナの全国での感染確認の発表は2022年1月27日に7万9000人近くとなり、デルタ株の時のピーク、2021年8月下旬のおよそ2万6000人のおよそ3倍になっています。
全国各地で急激な拡大となっていて、まん延防止等重点措置は1月27日からは34の都道府県に拡大されました。
「変異株PCR検査」の結果から見ると、2022年1月23日までの1週間の暫定値で、オミクロン株の疑いがあるウイルスは全国97%を占めるに至っています。

■オミクロン株が派生? BA.2とは

さらに、オミクロン株の系統の1つで「BA.2」と呼ばれる変異ウイルスが注目され始めています。
現在、世界中で感染が広がっているオミクロン株「BA.1」ではウイルスの表面にある突起部分「スパイクたんぱく質」の一部に欠けている部分がありますが、「BA.2」では、この欠けている部分がないことが分かっています。
ヨーロッパでは、この部分を目印にしてオミクロン株を検出しているということで、見つけられないこともあると指摘されています。
(日本で行われている検査では検出できるとされています)
日本国内では、インドやフィリピンに渡航歴がある人から、このウイルスが検出されているということです。
また、1月26日の厚生労働省の専門家会合では、このウイルスが広がっているデンマークのデータを分析した結果として、1人が何人に感染を広げるかを示す実効再生産数が「BA.1」に比べて18%上昇している可能性があると報告されました。
デンマークの保健当局のもとにある研究所によりますと、「BA.2」は2021年の年末の1週間ではデンマーク国内で検出される新型コロナウイルスの20%ほどだったのが、2022年1月中旬の1週間では45%ほどになったとしています。
ただ、デンマーク政府のもとにある感染症の研究所は、1月20日に出した声明で、「BA.1」と「BA.2」で入院に至るリスクは差がなく、感染性の高さやワクチンの効きに違いがあるかどうかは調査中だとしています。
イギリスの保健当局は1月21日、国内外で増加していることから、「調査中の変異ウイルス」に位置づけたことを公表しました。イギリスでは従来のオミクロン株「BA.1」が優勢で、「BA.2」が占める割合は少ないとしています。ただ、ウイルスの遺伝子の違いにどのような意味があるか分からないところもあり、さらに分析を続けるとしています。

■潜伏期間短く、感染広がるサイクルが短い

日本国内では、インドやフィリピンに渡航歴がある人から、このウイルスが検出されているということです。
また、1月26日の厚生労働省の専門家会合では、このウイルスが広がっているデンマークのデータを分析した結果として、1人が何人に感染を広げるかを示す実効再生産数が「BA.1」に比べて18%上昇している可能性があると報告されました。
デンマークの保健当局のもとにある研究所によりますと、「BA.2」は2021年の年末の1週間ではデンマーク国内で検出される新型コロナウイルスの20%ほどだったのが、2022年1月中旬の1週間では45%ほどになったとしています。
ただ、デンマーク政府のもとにある感染症の研究所は、1月20日に出した声明で、「BA.1」と「BA.2」で入院に至るリスクは差がなく、感染性の高さやワクチンの効きに違いがあるかどうかは調査中だとしています。
イギリスの保健当局は1月21日、国内外で増加していることから、「調査中の変異ウイルス」に位置づけたことを公表しました。イギリスでは従来のオミクロン株「BA.1」が優勢で、「BA.2」が占める割合は少ないとしています。ただ、ウイルスの遺伝子の違いにどのような意味があるか分からないところもあり、さらに分析を続けるとしています。
潜伏期間短く、感染広がるサイクルが短い
一方で、オミクロン株が先に拡大した南アフリカやイギリスでは、感染者数が急速に減少し、アメリカでも減少し始めました。
日本国内ではまだ急増が続いていますが、ピークをできるだけ低くして、少しでも影響を減らすことが大事だと専門家は指摘しています。

■飲食などで感染 “鼻マスク”避けて

では、いま、どこでも感染する可能性がある状況で、どう対策すればよいのでしょうか?
ポイントは、オミクロン株でも、感染経路はこれまでの新型コロナウイルスと変わらない点です。
飛まつや「マイクロ飛まつ」と呼ばれる密閉された室内を漂う小さな飛まつが主で、ウイルスがついた手で鼻や口などを触ることによる接触感染もあります。
国立感染症研究所が1月13日に出したオミクロン株に感染したケースの疫学調査の結果では、オミクロン株でも、飲食店での職場同僚との忘年会や、自宅での親族との会食など、飲食を通じた感染が見られていて、飛まつ感染が多くなっています。
職場での密な環境での作業を通じて感染するケースも報告されています。
これまでも続けてきた「マスクを着用する」、「換気を行う」といった対策を徹底することが重要になっています。
政府分科会の尾身会長は、1月25日、分科会のあと報道陣の取材に対し「マスクを外した状況や、“鼻マスク”など着用が不十分な状況での感染が、思っていたよりはるかに多いことが分かっている。徹底してもらいたいのはマスクの適切な着用で、不織布マスクで鼻までしっかり覆ってほしい」と述べました。
マスクをとった会話や飲食の場面で感染するリスクが高く、厚生労働省の専門家会合は、ワクチン接種者も含め、マスクの正しい着用、手指衛生、換気などの徹底を継続することが必要で、「1つの密でもできるだけ避けた方がよい」としています。

■ワクチン追加接種で入院リスク大幅↓

オミクロン株でも、ワクチンの追加接種で効果があると考えられていますが、1月21日には、アメリカのCDC=疾病対策センターも入院を防ぐ効果はオミクロン株に対しても90%に上昇するという分析結果を公表しました。
ファイザーやモデルナの「mRNAワクチン」の2回目の接種から6か月以上たった場合、入院を防ぐ効果は、デルタ株が優勢だった時期に81%だった一方、オミクロン株が優勢になった時期には57%でした。
しかし、3回目の接種のあとではデルタ株の時期は94%、オミクロン株の時期は90%に上昇したということです。
また、ワクチンの追加接種を受けた人と比べ、受けていない人は入院する割合が大幅に高くなり、50歳から64歳で44倍、65歳以上で49倍になるという分析もあわせて公表しました。
CDCは、症状の悪化を防ぐためには3回目の接種が重要で、未接種者はできるだけ早くワクチンを接種する必要があるとしています。

■重症化リスク↓も 病床使用率↑に

オミクロン株は、感染力は強い一方で、感染したときに重症化する割合は低いという見方が強まっています。
WHO=世界保健機関は1月25日の週報で、「オミクロン株は各国で感染者数が急増しているにもかかわらず、重症化や死亡のリスクは低いようだ」としています。
また、オミクロン株では、鼻やのどといった上気道の炎症を引き起こしやすいものの、ほかの変異ウイルスと比べて肺まで達して重症化するリスクは低いとしています。
ただ、感染者数が非常に多いため、多くの国で入院者数は急増していて、医療体制がひっ迫しているとして、警戒を呼びかけています。
イギリスの保健当局によりますと、オミクロン株に感染して入院に至るリスクは、デルタ株の場合に比べて3分の1になっているとしています。
ただ、イギリスでは3回目の追加接種を受けた人が2022年1月25日の時点で64.4%に上っていて(12歳以上)、1月27日時点で全人口の2.5%にとどまっている日本とは状況が異なるため、注意が必要です。
国内でも各地から軽症者が多いという報告が相次いでいますが、国内で最も早い時期に感染が広がった沖縄県では重症化リスクのある高齢者に感染が広がってきています。
沖縄県で感染者に占める60代以上の割合は、1月23日までの1週間でおよそ16%と徐々に上昇してきています。
病床の使用率は日に日に上がってきていて、1月26日時点で沖縄県では63.8%、大阪府では53.9%、東京都では42.8%などとなっています。
国内では死者数が少ない状態が続いていますが、海外では感染者数が減っても死者数が増加したところがあります。
イギリスでは、1月18日までの1週間での新規感染者数はおよそ67万4000人と、前の1週間と比べておよそ40%減少したあと、ほぼ横ばいとなっています。
死者数は、感染者数がピークアウトしたとみられた1月18日までの1週間で1900人余りとおよそ15%増加、その後の1週間でも1800人余りと多い状態が続いています。
日本でも、感染が広がり続けると、重症患者や亡くなる人の数が増えるおそれがあります。

■子どもの感染拡大 各国で懸念

オミクロン株では、これまでは少なかった子どもでの感染拡大も続いています。
厚生労働省のウェブサイトによりますと、10歳未満の新規感染者数は、2021年12月28日までの1週間では149人でしたが、2022年1月4日まででは353人、1月11日まででは2238人、1月18日まででは1万2947人と急増しています。
アメリカでは、1月20日までの1週間で、子どもの新規感染者数は115万1000人となり、過去最多を更新し続けています。
アメリカ小児科学会は、子どもで症状が重くなり入院に至る率は0.1から1.5%、死亡率は0から0.02%と報告しています。
日本国内では、ワクチンの接種対象年齢が5歳までに引き下げられました。
ファイザーの臨床試験では、5歳から11歳での発症を防ぐ効果は90.7%で、接種後に出た症状もおおむね軽度から中程度だったとしています。
小児科医でワクチンに詳しい北里大学の中山哲夫特任教授は、
「どの子が重症化するか事前に特定できず、ワクチン接種で備えるのは大切なことだ。オミクロン株は、上気道、鼻やのどで増えると言われていて、子どもはたんを出しにくかったり、気道が小さかったりして、激しくせきこんだり呼吸困難になったりすることも考えられる。子どもにとっての上気道の感染症は侮ってはいけない。あらかじめ親子でワクチンについて理解して、メリットとデメリット、副反応をよく考えて、子どもも親子も納得して進めなければいけない」
と話しています。

■これまでの変異ウイルスとの比較

感染力や病原性など、いま分かっていることをWHOや国立感染症研究所、各国の公的機関などの情報をもとに、ほかの「懸念される変異株=VOC」と比較する形でまとめました。
『アルファ株』(2020年12月 イギリスで最初に報告)
『ベータ株』(2020年12月 南アフリカで最初に報告)
『ガンマ株』(2021年1月報告 ブラジルで拡大)
『デルタ株』(2020年10月 インドで同じ系統が最初に報告)
『オミクロン株』(2021年11月 南アフリカが最初に報告)
▼感染力
『アルファ株』↑
『ベータ株』↑
『ガンマ株』↑
『デルタ株』↑↑
『オミクロン株』↑↑↑
オミクロン株の感染スピードの速さを示すデータが、各国から報告されています。
WHOの週報では、家庭内での「2次感染率」はデルタ株の21%に対し、オミクロン株は31%だったとする、2021年12月のデンマークでの分析結果を紹介しています。
アメリカのCDC=疾病対策センターは、オミクロン株の感染力は最大でデルタ株の3倍とするデータがあるとしています。
▼病原性
『アルファ株』 入院・重症化・死亡のリスク高い可能性
『ベータ株』 入院のリスク・入院時の死亡率高い可能性
『ガンマ株』 入院・重症化のリスク高い可能性
『デルタ株』 入院のリスク高い可能性
『オミクロン株』 入院・重症化リスク低い
オミクロン株では、入院に至るリスクや重症化リスクがデルタ株に比べて低いとされています。
一方、イギリスの保健当局は、オミクロン株は重症化リスクが低いといっても、感染拡大のスピードの速さや免疫から逃れる性質があり、必ずしも医療機関への負荷が減ることを意味しない、と強調しています。
▼再感染のリスク
『アルファ株』 ウイルスを抑える抗体の働きは維持、再感染のリスクは従来株と同じか
『ベータ株』 ウイルスを抑える抗体の働きは減る、ウイルスを攻撃する細胞の働きは維持
『ガンマ株』 ウイルスを抑える抗体の働きはやや減る
『デルタ株』 ウイルスを抑える抗体の働きは減る
『オミクロン株』 再感染のリスク上がる
WHOでは、ワクチンや過去の感染によって免疫を持つ人でも再感染しやすくなる変異があるとしています。
イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンは、オミクロン株の再感染のリスクは、デルタ株に比べて5.41倍と高くなっているとする報告を出しています。
▼ワクチンの効果(ファイザー・モデルナのmRNAワクチン)
『アルファ株』 感染予防・発症予防・重症化予防ともに変わらず
『ベータ株』 発症予防・重症化予防ともに変わらず
『ガンマ株』 感染予防・発症予防・重症化予防ともに変わらず
『デルタ株』 感染予防・発症予防・重症化予防ともに変わらず(感染予防・発症予防は下がるという報告も)
『オミクロン株』 発症予防効果低下・重症化予防効果はあるという報告も 3回目接種で発症予防効果・重症化予防効果も上がる報告も
オミクロン株は、2回のワクチン接種を完了した人でも感染するケースが報告されています。
発症予防効果は接種から時間を経るごとに下がるものの、重症化を予防する効果は一定程度保たれるというデータが出てきています。
また、3回目の追加接種で発症予防効果、重症化予防効果が上がるという報告も出てきています。
イギリスの保健当局のデータでは、オミクロン株に対しては、ファイザーやモデルナのmRNAワクチンで、2回の接種から2週間から4週間後には発症を防ぐ効果が65~70%でしたが、20週を超えると10%程度に下がっていました。
ファイザーのワクチンを2回接種した人が3回目にファイザーかモデルナの追加接種をすると、2週間から4週間後には発症を防ぐ効果は65%~75%に上がりました。
ただ、5週間から9週間後では55~70%に、10週を超えると40~50%に下がりました。
重症化して入院するリスクを下げる効果は、発症を防ぐ効果より高くなっています。
ファイザーやモデルナ、それにアストラゼネカのワクチンを接種した人で分析すると、入院に至るのを防ぐ効果は、2回の接種後2週間から24週間では72%、25週を超えても52%、3回目の追加接種をしたあと、2週以降だと88%となっていました。
▼治療薬の効果
重症化を防ぐために感染した初期に投与される「抗体カクテル療法」は、効果が低下するとされています。
厚生労働省はオミクロン株に感染した患者には、投与を推奨しないとしています。
一方で、ウイルスの増殖を防ぐ仕組みの飲み薬には影響が出ないのではないかと考えられています。
東京大学などの研究グループは、軽症患者用の飲み薬「ラゲブリオ(一般名モルヌピラビル)」を投与した時に体内に出る物質や、中等症以上の患者に投与される「レムデシビル」の作用を調べたところ、オミクロン株に対して、デルタ株と同じ程度の効果が得られたとする実験結果を紹介しています。
また、WHOは、重症患者に使われる免疫の過剰反応を防ぐ薬やステロイド剤は、引き続き効果が期待されるとしています。

■専門家は

海外の感染状況に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授は、現状で求められる対策について、
「オミクロン株は『BA.1』であっても『BA.2』であっても感染力が強いことは変わらず、一般の国民にとってとるべき対策は変わらない。オミクロン株が急速に拡大する現状でとっている対策を徹底し続けることが何より重要だ。
一方で、感染のしかたや、症状に変化が無いかなどを監視することは最適な対策をとっていく上で大切なことなので、引き続き注視していく必要がある」と話しています。

■対策は変わらない

私たちができる対策はこれまでと変わりませんが、専門家は今の感染急拡大の状況の中で、対策をより徹底するよう呼びかけています。
不織布マスクで鼻まで覆い、“鼻マスク”を避けること、密にならないようにして、マスクを外すときにはより注意すること。
とくに飲食の場面での対策が重要です。
厚生労働省の専門家会合も、ワクチン接種に加えて、特に会話時などでのマスクの着用、消毒や手洗い、換気や密を避けるといった基本的な対策を続けるよう呼びかけています。
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