新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、事業者の賃料の負担軽減や雇用調整助成金の拡充などが盛り込まれた第2次補正予算は、参議院本会議で採決が行われ、賛成多数で可決・成立しました。
今年度の第2次補正予算案は12日、参議院予算委員会で、安倍総理大臣とすべての閣僚が出席して質疑が行われたあと、共産党を除く賛成多数で可決されました。
このあと参議院本会議が開かれ、採決が行われた結果、自民・公明両党のほか、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会などの賛成多数で可決・成立しました。
第2次補正予算は、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、事業者の賃料の負担軽減や雇用調整助成金の拡充などが盛り込まれ、追加の歳出は一般会計の総額で31兆9114億円と、補正予算としては過去最大となっています。
菅官房長官「新型コロナ対策 しっかりと実施」
菅官房長官は、記者会見で「第2次補正予算は新型コロナウイルスへの対策を抜本的に強化し、国民の生活や雇用を守るためにあらゆる対策を講じており、しっかりと実施していきたい」と述べました。
10兆円を計上している予備費については、「財政演説などで、第2波、第3波がきて、大幅に事態が悪化した場合に想定される使途の内訳を説明させていただいている。予備費を含め、今後のさらなる財政措置は、状況を見ながら適切に判断していきたい」と述べました。
西村経済再生相「支援必要な人へ1日も早く届ける」
西村経済再生担当大臣は記者会見で「どのような事態が生じても日本経済を守り、雇用や生活、事業を守り抜いていく枠組みができた。大事なのはスピードであり、第1次補正予算をしっかり執行していくことと合わせ、第2次補正予算も支援を必要とする人へ1日も早く届けられるよう全力を挙げたい」と述べました。
自民 二階幹事長「生活守る予算 迅速に」
自民党の二階幹事長は、記者団に対し「今回の補正予算では、家賃支援や、資金繰り対策などに力を入れ、長期戦を見据えた対応をしなければいけないので、10兆円の予備費も準備している。国民の生活、雇用、事業を守り抜くための予算とすることができた。これを国民の手元に迅速に届けることがいちばん大事だ」と述べました。
自民 伊吹元衆院議長「3次補正予算案は作らなくていいよう努力」
自民党の伊吹 元衆議院議長は派閥の会合で「いま『コロナのため』と言われると、なかなか抵抗できない雰囲気があるが、予算がみんな使い切れるのか分からないようなものが結構あるように思う。かなり急いで作ったきらいがある。パンデミックがまた来た時のために、10兆円という予備費を用意しているのだから、第3次補正予算案は作らなくていいよう、努力していかないといけない」と述べました。
立民 福山幹事長「国会延長を」
立憲民主党の福山幹事長は、記者団に対し「野党の主張がかなり取り入れられたことは評価したいが、成立がこの時期になったのは政府の意思決定が遅いためだ。政府はこれらの支援策が国民に1日も早く届くよう努力してほしい」と述べました。
そのうえで、「持続化給付金の委託などは引き続き追及したい。感染拡大の第2波のリスクや経済状況のさらなる悪化への懸念が広がる中で、国会を閉じることはありえない。延長を強く政府・与党に求めていきたい」と述べました。
国民 玉木代表「内閣不信任決議案も視野」
国民民主党の玉木代表は、記者団に対し「手放しで賛成したわけではなく、追加で現金10万円を給付するよう引き続き求めたい。持続化給付金の委託など、税金が適切に使われたのか厳しくチェックしなければならず、国会を開き続けるよう求めたい」と述べました。
そのうえで「自民党の河井夫妻は、選挙違反の疑惑について説明責任を果たすべきだし、自民党の責任も重い。内閣の不信任に当たることはてんこ盛りで、決議案の提出も視野に最終盤の国会に臨みたい」と述べました。
公明 山口代表「必要とする人たちに一刻も早く」
公明党の山口代表は、記者団に対し「成立した予算を一刻も早く、必要とする人たちに確実に届けることが重要だ。1つの特徴は予備費を10兆円用意したことだ。何が起きるか分からない状況にスピーディーに対応しなければ、困る人がたくさん出てしまう。国会が閉会になった後も第2波、第3波の警戒を怠ってはならず、政府をしっかり監視しながら対応していくことが重要だ」と述べました。
維新 馬場幹事長「予備費多めは自然な流れ」
日本維新の会の馬場幹事長は、記者会見で「本来、国会の会期を延長すべきだと思うが、延長しないという状況であれば、予備費を多めに積むことは自然な流れだ。感染状況が落ち着いている今こそ、第2波に備えるため、医療用のマスクや防護服などの資材の確保に加え、ICU=集中治療室を備えた国立のセンターを関東と関西に設置すべきだ」と述べました。
共産 小池書記局長「10兆円の予備費 賛成できず」
共産党の小池書記局長は、記者会見で「10兆円の予備費には賛成できないという一点で反対した。予備費が財政支出の3分の1を占めるのは戦前もなかったやり方だ。これを全会一致で通しては議会制民主主義の歴史に汚点を残すことになり、議会の自己否定にもつながりかねない。引き続き国会の会期延長や第3次補正予算案の編成を求めていく」と述べました。