2022/03/19【新型コロナウイルス:COVID-19】米、コロナ感染再拡大に懸念強まる 下水ウイルス検出増 /アメリカ
米国で新型コロナウイルスの感染再拡大への懸念が強まっている。新規感染者数は減少傾向にあるものの、感染動向の早期把握の目安となる下水のウイルス量が全米の4割の地点で増加した。マスクの着用などいったん緩和した感染対策を再び強めるのは容易ではなく、連邦政府は難しいかじ取りを迫られている。
米ジョンズ・ホプキンス大の集計によると、17日の新規感染者数(7日移動平均)は約3万3000人。80万人を超えた1月のピーク時と比べれば激減しているが、16日からは2日連続で前日を1000人ほど上回っている。
懸念は下水から検出されたウイルス量の増加だ。米疾病対策センター(CDC)によると、2月27日から3月13日までで全米約500カ所の4割でウイルス量が増えた。なかでも50カ所はウイルス量が11倍超になったという。
下水に含まれるウイルス量を分析することは、無症状者を含む感染者数の増減の早期把握につながるとされる。ホワイトハウスの新型コロナ対策チームのアシシュ・ジャー調整官は17日、ツイッターで「感染は拡大する可能性が非常に高い」と警戒を呼びかけた。
米国では現在、大半の地域で屋内のマスク着用義務を撤廃したり、飲食店などでのワクチン接種証明の提示を不要にしたりしている。下水から検出されるウイルス量の増加も直近の感染対策の緩和が影響しているとの見方が強い。
もう一つの懸念は、新規感染者数が増加に転じた英国などでオミクロン型の派生型「BA.2」が急速に広がりつつあることだ。CDCは、12日までの1週間で感染例の2割超を「BA.2」が占めたと推測する。2週間前と比べて3倍となった。
ファウチ首席医療顧問は17日、米メディアのインタビューで、英国の数週間後に米国で感染拡大が始まる傾向があると指摘。今後、感染者数が増加に転じる可能性に言及した。その上で「問題は、どうやって我々が(今後の感染状況に)対処していくかだ」と語った。
「マスクは(捨てずに)引き出しにしまっておくべきだ」。CDCのワレンスキー所長は感染が再拡大した場合に、行動規制を再び強めることになるとの見方を示した。