欧米を中心に患者が確認されている感染症「サル痘」。国内で確認された場合、感染拡大を防ぐためどんな措置を取れるのか。その根拠となる感染症法では「4類」に分類されているが、新型コロナウイルス感染症の流行で取り上げられることが増えた「2類」や「5類」と何が違うのか。【金秀蓮】
Q 感染症法では病気はどう分類されている?
A 感染症法に基づき、ウイルスや細菌の感染力や、かかった場合に重症化しやすいかどうかなどの観点から1~5類に分類されています。最も危険度が高い1類にはエボラ出血熱やペスト、2類には結核、3類にはコレラや細菌性赤痢があります。サル痘が位置づけられている4類には狂犬病やデング熱、5類にはインフルエンザや梅毒などが含まれます。
新型コロナは2類とほぼ同じ扱いが可能です。ただ、ワクチン接種が進んで重症化することが少なくなり、5類に引き下げるべきだという議論もあって、感染症法上の分類が広く知られるようになりました。
Q どんな措置が取れる?
A 入院の勧告、就業の制限、診断した場合の届け出義務などの項目があります。感染症が流行した場合の社会に与える影響などを考慮して分類され、それに応じて取れる措置も異なってきます。1類では最も厳しい措置が取れます。
Q 4~5類では?
A 4類と5類では、危険度ではなく、媒介する動物や虫がいるのが4類、そうでないのが5類と分けられています。このため、サル痘の4類では汚染された場所の消毒や、ネズミ、昆虫の駆除ができます。また診断した医師はすべての患者報告を保健所に届け出ることも義務づけられています。ただ、新型コロナのように、感染者に入院を勧告するなどの強い措置は取れません。
患者の人権が守られるように、病気の危険度が小さい場合には、取れる措置は限られてきます。