世界保健機関(WHO)は1日、欧州のサル痘感染者数がここ2週間で3倍に増加したと指摘し、欧州各国に緊急対応を呼び掛けた。
WHO欧州地域事務局のハンス・クルーゲ(Hans Kluge)事務局長は、サル痘の感染拡大を防ぐためには「緊急かつ協調的な行動が不可欠」だと指摘。WHOは今のところ、サル痘をめぐり「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言していないが、宣言の是非を近く再検討する予定だとした。
サル痘は5月以降、従来の流行地域であるアフリカ中部・西部以外の地域での感染例が急増。これまでに31か国・地域で感染が報告されている。クルーゲ氏は、世界の感染者のうち9割に当たる4500人が欧州で確認されたと説明。欧州は感染拡大の中心地であり、リスクは今も高いと警告した。
欧州連合(EU)の欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、国別の感染者数は多い順に英国が1076人、ドイツが838人、スペインが736人、ポルトガルが365人、フランスが350人となっている。
サル痘に感染すると、発熱の後に発疹が現れ、かさぶたになる。通常、症状は軽度で、2~3週間以内に自然治癒することが多い。
米国の保健当局は先月28日、国内の感染拡大地域に対して5万6000回分のサル痘ワクチンを配布すると発表。認可済みサル痘ワクチンの唯一の製造元であるデンマークの製薬企業ババリアン・ノルディック(Bavarian Nordic)は1日、米国に250万回分のワクチンを追加で出荷すると発表した。