2022/08/07【新型コロナウイルス:COVID-19】「世の中が慣れても流されない」感染爆発の沖縄で感染者ゼロの老人ホーム その対策と思いー /沖縄県
人口当たりの新型コロナ感染者が全国最多、全国平均の2倍超の沖縄。
重点医療機関において感染や濃厚接触などにより出勤ができなくない医療従事者は1,200人を超え、医療体制がひっ迫しています。
県内の老人ホームなどでの『施設内療養者』も今月過去最多を更新しています。こうした中、入居者からは1人も感染者を出していない老人ホームがあります。感染者が出ない理由に迫りました。
県保険医療部 宮里義久統括監
「(8月2日時点)施設内の療養者数の合計が1810名。内訳が高齢者施設1601名、障がい者施設が209名。過去最多です」
県は8月2日、新型コロナに感染し、老人ホームなど社会福祉施設の中で療養する患者が1810人となり、過去最多を更新したと発表しました。
急激な感染拡大により、施設内で療養する患者も増えている県内で、コロナ禍になっておよそ2年半、入居者から感染者を出していない老人ホームがあります。
西原町にある守礼の里は70人の高齢者を受け入れ、ショートステイやデイサービスも行う、一般的な老人ホームです。
守礼の里 石垣由美子施設長
「これは令和4年の(資料)なんですけど。もっとあります。ここに収まらないくらい沢山あります」
感染対策資料などをすべてまとめて来たという施設長のさんに感染対策を伺いました。
守礼の里 石垣由美子施設長
「入所者の平均年齢が89歳です。最高齢が102歳。一番若い方で72歳ですので。重症化すると命に関わってくる。初期のころから、(職員)みんなで言っていたことは、ぜったい持ち込まない」
こちらのホームは、全室個室で共有リビング付き。常に施設にいる入居者が感染源になる可能性は低いため、外からの感染対策を徹底したといいます。
「ばあちゃん、顔を見せて。顔を見せて」
「朝寝坊はしないはず。みんなと一緒に起きている」
コロナ禍の初期から導入したのが、窓越しでの面会。会話も携帯電話を使用します。シーツなどの洗濯物やおむつなどの日用品の受け渡しなど業者とのやり取りはすべて屋外で。手間が増えたとしても職員がとりに行きます。
守礼の里 石垣由美子施設長
「コロナに感染させてしまうと、あとの対応が大変ですよね。その大変さよりも、感染させないための大変さをみんなでやろうと」
コロナ禍になってから、こちらのホームでは、欠かさずに行ってきたことがもう一つ。
「感染対策委員会を月に一回必ず(開催)。それから臨時的にも何回もやっているんですけど。国や県から指針が出てもすぐに集まって。共有をする」
ホームでは月に一度、感染対策委員会を実施。介護士、看護師、厨房など各セクションの代表を集めて、入居者や職員たちの健康状態や行政からの指導方針などの情報を共有。そこから71人の職員全員に情報が行きわたる仕組みになっています。
守礼の里 石垣由美子施設長
「私も休日がありますので、休日の時は電話やメールの連絡が入ります。とにかくホウレンソウはぜひやって下さいということで」
職員に体調の不安や、濃厚接触の可能性が出た場合、自己判断は厳禁。必ず施設長の石垣さんが報告を受けるため、コロナ禍になってから石垣さんのスマートフォンは休日でも職員に解放されたままです。
守礼の里 石垣由美子施設長
「慣れてきますよね、世の中が。それなので、流されないように。そういう状況の中に。施設の中は何も変わらないわけですよね。世の中は変わっても、施設の中は変わらないので。変わらない気持ちで、利用者を守っていく」
いつ誰が感染してもおかしくない状況下で。“当たり前の感染対策ができているか”。職員たちの自問はこれからも続きます。
※8月7日追記
7日、老人ホームなどの『施設内療養者』のうち、酸素投与を必要とする患者の数が過去最多の96人となりました。