【百日咳】百日せき 乳幼児500人重症化 命の危険も
子どもを中心に激しいせきが続く百日せきは、戦後まもなくワクチンの定期接種が始まり、国内では十分な対策が行われたと考えられてきましたが、去年1年間だけで推計500人以上の乳幼児が自力での呼吸が難しくなるなどして入院し命の危険にさらされていたことが、専門家による調査で初めてわかりました。専門家は、百日せきの定期接種の在り方を見直す必要があると指摘しています。
百日せきは激しいせきなどを繰り返す細菌性の感染症で、戦後まもない時期には、乳幼児を中心に致死率が10%にも上ったことから昭和25年からワクチンの定期接種が始まり、その後は、十分な対策が行われていたと考えられてきました。
ところが、日本医療研究開発機構の研究班が10の県の病院を対象に、実態調査したところ、去年1年間だけで、全国で推計500人以上の乳幼児が百日せきが重症化して入院が必要となり、このうち80人ほどが、人工呼吸器による治療を受けるなど命の危険にさらされていたことが初めてわかりました。
百日せきのワクチンは、生後3か月から1歳までに3回、次に6か月以上の期間をあけて1回の合わせて4回定期接種が行われていますが、その効果は、最短4年ほどで低下します。このためワクチンの効果が低下した小中学生や大人が感染し、家庭でまだワクチンを接種していない乳幼児に感染させていると見られるということです。
調査を行った福岡看護大学の岡田賢司教授は「欧米などでは、小学生や妊婦に対し、ワクチンの追加接種をするなど乳幼児を守る対策を行っている。日本も定期接種の在り方を見直す必要がある」と指摘しています。
http://www3.nhk.or.jp/ne…/html/20170405/k10010938161000.html